【対話でひらく発達支援】書字障がいを考える①
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大内 雅登(おおうち まさと)
*本記事は、S&D発達支援情報メルマガNo.13(2024年12月12日発行)から転載されたものです。
読字障がいに触れたとき、「読めない原因はこれですよ」と限定はできませんでした。
文字を見て音にするのが苦手だとか、視覚機能の困難さだとかいくつか考えられることがありました。
読めないという状態だけでは、その理由ははっきりしませんでした。
同じように、書けないという状態だけでは、その理由ははっきりしません。
代表的な理由を一つひとつ考えていきたいと思います。まずは、音やイメージから文字が思い浮かばないパターンを考えてみます。
私が高校生くらいのときでしょうか、女優の安田成美さんが「ねえねえ、バラって漢字で書ける?」と振り返りながら話しかけるコマーシャルがありました。
ん?と一瞬考えてしまいますが、バラのような画数の多い文字に限らず、多くの文字が思い出せない場合には、書字障がいが疑われます。
形を音にするのが苦手なのが、読字障がいだとするとその逆ですね。
音を形にするのが苦手ということになります。私たちの世代は、英語で筆記体を習いました。私は、例えば「明日」という意味の「tomorrow」は、どの文字を重ねて書くのかはっきりと覚えておらず、いまだに人差し指で空書をしないと思い出せません。
同世代の方は、何度も書くことで手が覚えてしまうことを思い出すのではないでしょうか。
不思議ですよね。なんで思い出せないことが指で思い出せるのでしょうか。
これは、思い出すときに使う脳の部分が異なることに起因しているそうです。言葉や図形など学習に関する記憶は顕在的記憶などと呼ばれ、脳の海馬と呼ばれるところで整理され、大脳皮質に蓄積されていきます。
それに対して、指が覚えているような身体的な記憶は手続き的記憶などと呼ばれ、小脳で処理をされます。
このメルマガの第2号で自閉症児・者の海馬異常について触れましたが、海馬や大脳に課題があっても、そこに依存しない手続き記憶は保持され、再生されます。
事実、大脳の疾患である認知症患者も、小脳で覚えた手続き記憶は覚えていることが報告されています。
書けないものを書かされるというのは苦痛が伴いますが、たくさん書くことで身につくことがあるのは事実と言えそうです。ちなみに、学習障がいとは異なりますが、字が上手く書けない発達性協調運動症を併発している可能性があるお子さんには、たくさん書かせることは悪影響となることが考えられます。
次回、ここに触れますので、「よ~し、書かせればいいんだね」と早合点せず、お待ちください。
【執筆者紹介】大内 雅登(おおうち まさと)
LD専門家庭教師Study&Dialog講師/Care-Media Labo主任研究員/(一財)発達支援研究所客員研究員。自身の経験と、支援現場での実践の双方から、対話を基盤とした支援のあり方を探求している。支援を「わかることから」ではなく、「ともに在ること」から捉え直す実践と言葉の発信を続けている。
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