【当事者が語る就労移行支援】② 社会参加をするということ。
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吉田 憲司(ヨシダ ケンジ)
テクノベース社のパネルトークイベントにズームで参加した。
https://peatix.com/event/3730674
2023年12月に開所予定の就労支援B型事業所のプレイベントらしい。
「肢体不自由のある方の就労について」
3名のゲストによるパネルディスカッション。
登壇者の肩書きに分身ロボット”OriHime”パイロットとあり、
ネット経由の遠隔操作で接客するカフェの特集を
見たことがあったので興味が湧いた。ZOOMでの参加者が45名程度、会場も同数くらい。
小一時間程度のものだから
「肢体不自由の就労はこうゆうもの。」
といった結論ありきのものではなく体験談を通して
現状と課題について話されていた。大まかに次のような内容だったと思う。
・雇用する会社側が障がい者の扱いに不慣れ。
・インフラの未整備。
・制度の不備。
・建物の構造の問題。少しではあるがの車椅子では乗り越えられない段差やエレベーターに乗り込めない、
たどり着けないといった話はここでも日常に横たわっている課題のようだ。他所でも困っているところは同じか、
と妙に納得してしてしまった。職場環境のみならず街中の公共スペースで車椅子一つ通れない箇所は多い。
情報化社会が到来してからというもの私たちの知識は
日々更新されているものの現実社会の更新速度はそれに追いついていない。
むしろ、その乖離は大きくなるばかりで仮想空間で
事足りることはより仮想に比重が大きくなっていく。ゲームなんかは良い事例だ。
既に人生の何パーセントかはゲームという仮想世界で
過ごしている人も少なくないだろう。いずれは映画マトリックスのように人生のすべてとはいかないまでも
何割かは仮想空間での生活になるのか。まあ、現時点でもネットの依存率はそれなりではあるけれど。
その仮想空間のプラットホームの主導権争いが
度重なるゲーム会社の大型吸収合併につながっているのだと思う。そのような流れになるのであればいつまでも
キーボードやマウス、タッチパネルというわけにもいかない。いずれはより仮想世界に親和性の高いインターフェースや
アクセス手法、サービスが出てくるのだろう。ここに来て生成AIが来て
作業の種類、質、量の改善の可能性も見えてきた。障がい者にも扱いやすいと思う。
そのような期待も込めて、
世の変化を肌で感じ取るための作業が
私にとっての社会参加というものになる。
それに制度や社会の変化は否応なしに障がい者にもやってくる。タップもできない自分にはスマホは不要と思っていたのに
本人確認のためiPhoneを購入したり、
各種会合や座談会にオンライン参加もするようになった。最期の意識の途絶える瞬間まで精神的思索を続けていることが
当たり前の世の中も十分にあり得るのかもしれない。もしそんな社会が訪れた時、
「障がい者だから」と言っている自分では困る。私自身の”障がい者というもの”の認識も
更新の時期に来ているのかもしれない。*本記事は、吉田憲司さんのブログ(https://keckeisen.amebaownd.com/posts/49749625)からはつけんラボ向けに転載したものです。
【執筆者紹介】吉田 憲司(ヨシダ ケンジ)
大阪在住 頸髄損傷C4・5受傷 四肢麻痺 人工呼吸器常時使用
大阪頸髄損傷者連絡会所属
1977年生まれ
1993年、高校2年にクラブ活動中に受傷
趣味 読書 自作PC ガジェット好き
四肢麻痺、寝たきりでの ライフスタイルを模索。平成5年から重度障害者としてその時々多くの人の手を借り、知恵を拝借し生きています。
医者の言葉を借りるなら「ALSに準ずるレベル。」の重度障害ですから首から下は全く動かず自力で呼吸もできません。
周りにかけた迷惑は数知れず、受けた恩は量り知れません。
今生での恩返しなどは到底無理ですので帳尻合わせは来世としても、今、できることはできうる範囲でもよいのでやっておこう。
そのようなことを考えながら日々を過ごしています。
とはいえ、食事や排せつなどの日常生活、呼吸のような生命維持まで他人様にお願いしての生活です。
そんな状況で何ができるか。障碍者としての生きていくことの意味、意義といったもの、少しでも納得の答えが得られれば…。
なかなかにキツイ生き方ですがそれほど悪くはなかったといえるようになれれば、そう願っています。
吉田憲司さんのブログ⇒https://keckeisen.amebaownd.com/
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