【対話でひらく発達支援】読字障がいを考える①
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大内 雅登(おおうち まさと)
*本記事は、S&D発達支援情報メルマガNo.9(2024年10月10日発行)から転載されたものです。
文字が読めないという困りごとを抱えている人達がいます。学習障がいの中でも「読字障がい(ディスレクシア)」という分類がなされています。ときに「読み書き障がい」とも呼ばれることがあるのですが、これは「読めなければ書けない」ということです。「読めるけれども書けない」場合には別の呼び方をしています。
さて、読むと一口に言いましてもその実状は様々です。
平仮名が読めない、カタカナが読めない、漢字が読めない・・・という文字に関するものもあれば、単語の区切りがわからない、長い文になれば読みにくいなど文章に関するものもあります。その上、平仮名が読めないお子さんと、漢字が読めないお子さんは原因が異なるかもしれませんし、平仮名が読めないお子さんが二人いたとしても、その二人の原因が同じとは限りません。
要は、読めないという現象が同じということになります。これから何回かにわたって、その原因について考えていきますが、まずは音の再現について触れてみます。
外を歩いていて、イヌが歩いてきたとしましょう。私たちは、目の前の生き物につけられた総称である「イヌ」という名前の音を思い出した、という言い方ができます。
別に目の前の生き物だけがイヌではありません。イヌと呼ばれる生き物の写真がズラっと並んだ図鑑でも思い出していただければ、それらの共通点だと認識されるものがまとまってきますね。
四本足で歩く、耳が頭の上にある、尻尾が生えた生き物。他にも特徴はありますが、とりあえず、こうしたものを共通点として数えてみましょう。
すると、この共通点を満たしたとき、写真ではなくイラストでもイヌだと受け止めることができます。
え?ネコとの違いは?と言われるかもしれません。そうですね、丸顔ではなく、少し面長にしておきましょうか。
こうして、四本足で、面長の顔で、頭の上に耳がある尻尾が生えた生き物を見たとき、私たちは「イヌ」という音が思い出されます。それが精緻な写真でなく、イラストで描かれたものでも「イヌ」という音が思い出されたとすれば、それはそのイラストを「読んだ」と言えるでしょう。
いい加減な説明ですし、発達の順番とかは正しく説明をしていませんが、ともかく、これが字を読むということの根源だと考えています。
イラストという記号を見て、イヌという音を思い出すことは、記号を見て音を思い出すこと、つまり、大雑把にまとめてしまうと、これは字を読むことと同じなんですね。
ここで、イヌもネコも区別がつかない思い出し方をした場合には、例えば「る」も「ろ」も同じになるということになります。私が個人塾を経営していたときには、得点の上がり方の大きさと、選抜テストのなさから多くの「読めない」お子さんが集まってきました。英語の授業など成り立つわけもなく、かと言って、当時の私に学習障がいの知識もなく。と言うか、学習障がいの可能性すら考えませんでした。
字じゃなくて絵なら読めるのか?と英語の授業では毎回塾生間で絵しりとりをし続けました。預けている親御様が知ったらお怒りになる授業ですが、学校のテスト平均2割程度の塾生達が7割程度にまで上がったときには、絵しりとりスゲーって思いましたね。それだけで世の中の読字に困っているお子さんが全員救われるとか、みんな点数が上がるとか考えるのは無理がありますが。
ときには記号を音にする機能に働きかけることが肝要だと学びました。
【執筆者紹介】大内 雅登(おおうち まさと)
LD専門家庭教師Study&Dialog講師/Care-Media Labo主任研究員/(一財)発達支援研究所客員研究員。自身の経験と、支援現場での実践の双方から、対話を基盤とした支援のあり方を探求している。支援を「わかることから」ではなく、「ともに在ること」から捉え直す実践と言葉の発信を続けている。
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