【対話でひらく発達支援】読字障がいを考える②
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大内 雅登(おおうち まさと)
*本記事は、S&D発達支援情報メルマガNo.10(2024年10月24日発行)から転載されたものです。
前回、記号を音にする力の弱さが読字の課題のひとつであることを紹介しました。
今回は、記号を音に直せたら読めるのか、というとそうとは限らないお話をさせていただきます。
私は香川県の出身ですが、さて、皆さんは西寄りの讃岐弁で書かれた次の文が読めるでしょうか。
『かかんきんこんしこんきんかかん』
これは年賀状のことを言っているのですが、どうですか、読めますか?笑
文字は読めるかもしれませんが、どこで区切るのか分からない方がほとんどではないでしょうか。読めるというよりは、音にできるだけで、これはこれで読めないという分類になりそうですよね。読字障がいのお子さんの中には、こうした区切りがわからずに逐次(ちくじ)読みをするしかないお子さんがいます。一文字ずつ追いかけるのがやっとで、とても意味をつかむところまでいかない状態になります。
先の謎の文ですが、漢字に直せるところは直してみますと『書かんきん来んし来んきん書かん』となります。少し読みやすくなりませんか。標準語に訳すと『書かないから来ないし来ないから書かない』となります。
日本語は英語のような分かち書きをしません。分かち書きとは単語と単語の間を開けて書く書き方です。日本語は漢字が入ることで自然と分かち書きが成立するんですね。
『書かんきん来んし』は、「来」の文字の前で区切れることがわかるから、無理に字と字を開けなくても読みやすいのです。そして、どうしてもわかりにくければ句読点を打ってしまう手もあります。でも、それは漢字を一定以上覚えたから、分かち書きなしでも成立する話でして、小学校の低学年では『こん虫は、ほご色によって、どのようにてきから身をかくしているのでしょうか。』というように漢字がほとんどない文がたくさん出てきます。ひらがなの段階で、区切りの見極めができないと大変です。
ちなみに一年生の教科書では分かち書きをしていることが多いので、読みに課題があるお子さんでも、区切りがわかりにくいタイプのお子さんは先生にも気づかれにくいです。二年生になって、急に国語で困り始めたので、てっきり学校に慣れてふざけているんだろうなんて誤解をされてしまうこともあるようです。『雪は』の「は」を[ワ]と読めなかったり、『はんしゃして』の「は」を[ワ]と読んだりするお子さんは、文字の位置によって読み方が変わると教えられても、どこが区切りか分からずに、位置の見極めができないことが原因として考えられます。
また文章が長くなると、一文の中で改行が行われるため、ますます区切りの見極めが難しくなってしまいます。雪はまぶしいほどはんしゃしていたのです。
という文にスラッシュを入れ、
雪は/まぶしいほど/はんしゃして/いたのです。
と文節で区切ると読みやすいお子さんもいます。
雪/は/まぶしい/ほど/はんしゃ/して/いたのです。
と単語で区切ることで意味がつかめるようになるお子さんもいます(正確には「いたのです」はさらに単語で分けられますが、お子さんの混乱を招く気がします)が、これでは「は」の読みは曖昧なままなんですよね。ディスレクシアで学校教諭の神山忠(こうやま・ただし)先生は、自分でスラッシュを引いたら読みやすいことに気づいたそうですが、正しくスラッシュを引くことができなくて、何度も書き直しているうちに教科書が汚れてしまい、先生にこっぴどく怒られたエピソードを講演会で話されています。
こういうサポートは読める人がするべきことだよなぁとしみじみ感じるお話です。
【執筆者紹介】大内 雅登(おおうち まさと)
LD専門家庭教師Study&Dialog講師/Care-Media Labo主任研究員/(一財)発達支援研究所客員研究員。自身の経験と、支援現場での実践の双方から、対話を基盤とした支援のあり方を探求している。支援を「わかることから」ではなく、「ともに在ること」から捉え直す実践と言葉の発信を続けている。
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