【なんちゃってJKの隠居生活】②
日米で見るヒーロー像の違い(後編)
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Pink Milk
*「前編」は こちら から
日本の漫画・アニメの主人公と比較してみて
アメリカのヒーローに対して、ここ20年の日本のアニメや漫画の主人公は少年で体格も中性的な傾向にある。主人公が戦う理由も、『ワンピース』は主人公が海賊王になるための旅であったり、日本全体で社会現象を巻き起こしている『鬼滅の刃』は鬼になってしまった妹を人間に戻すための兄の奮闘であったり、自分の野望のために戦っていたりとアメリカの「与える」ヒーロー像とは大きく異なっている。また、日本のアニメや漫画で主人公が大人であること自体がかなり少ない。
このように、日本には独自のキャラクター像が確立されていることが分かる。おそらく、日本人が『アベンジャーズ』を見ない理由は日本人が思い描く物語の主人公とアメリカンヒーローが大きくかけ離れているからだと考える。
日本人はこの先ずっと『アベンジャーズ』を見ないのか日本人と『アベンジャーズ』の溝はこの先ずっと開いたままなのか。そう、打ちひしがれていたとき、私は驚くべき光景をみた。日本人と『アベンジャーズ』の架け橋となるものは、ゲームの世界にあったのだ。
全世界のゲームメディアが選ぶゲームアワードに2019年に選ばれた『DEATH STRANDING』は、日本で制作されたゲームである。日本国内の売り上げは26万本以上のヒットをとばし、日本人の人気も獲得している。なんとこのゲームの主人公はマッチョだったのである。ゲームの世界でなら日本人は体格などの主人公像の違いを受け入れていた。日本の漫画・アニメしかみないという男の子でも海外で制作されたマッチョの主人公のゲームを楽しんでいたのだ。
私はこの光景を見て、一筋の光を見出した。きっと日本人がマッチョや主人公像の違いを克服できる方法はゲームでならその兆候があると思うのである。日本でアメリカンヒーローの映画がヒットする未来は近いと考える。
最後に
さらに調べを進めていくと、アメリカのヒーロー像が大きな転換点を迎えていることが分かった。
ドイツで制作されたドキュメンタリー番組「男子の美学」(原題:Real Men)では、映画の専門家たちがこのように述べていた。
「2010年代の映画のトレンドとして今までヒーローが担っていた役割が女性に切り替わっています。また、これまで白人が優位だったヒーロー像もさまざまな人種のヒーローが生まれるにつれてヒーローのありかたもより多様化になってきています。これからのヒーローは多様化でより身近な存在で現実的になるでしょう。」
私が今まで調べてきた理想のヒーロー像はすでに古く、これからは今までの概念にとらわれない新しいヒーローが誕生する時代である。ヒーローは時代とともに変化していくので、これからも時代の流れに遅れないように最先端のヒーロー論を学びたいと思っている。なぜならヒトがヒーローを求める心理には生きかたの羅針盤を示して欲しいという思いがあり、ヒーローを尊敬することで自身の生きかたの指針を見つけることができるからである。時代の変化が激しい現代でこそヒーローという生きかたを提示してくれる存在が求められていると考える(これからのヒーローには性別や人種は関係なく誰もがヒーローになれると考える)。
私は、研究して得たことを活用してメディア関係の仕事に携わり、「新たな生きかた」を発信していきたいとの展望である。今後もヒーローについての研究を続けていきたい。
【執筆者紹介】Pink Milk
関東地方在住。JKであるという実感が湧いていないJK。休日は家でゆっくり過ごしたい派。基本的に人混みへの外出は苦手。おいしいご飯さえあれば人生なにも困らないと思っている。
いつも読みやすい文章をお書きになりますね。それに、ご自身のテーマを深掘りする研究の進め方も参考になります。