【対話でひらく発達支援】書字障がいを考える②
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大内 雅登(おおうち まさと)
*本記事は、S&D発達支援情報メルマガNo.14(2024年12月26日発行)から転載されたものです。
前回、たくさん書けば、字を覚える可能性が高いという、半ば常識的とも言えるようなことをお伝えしました。
しかし、世の中には書くことが大きな負担になるお子さんもおられます。
ただ書かせればいいという話にはなりにくく、勉強だけではなく筆記自体への抵抗感を増す危険性も考えなければなりません。今回は、協調性運動症について触れてみます。
これは学習障がいではありません。
ざっくり言うと、動きがぎこちない、不器用という症状です。
自閉スペクトラム症や注意欠如多動症、限局性学習症との親和性が高く、数十%の割合で併存が認められています。
字が上手く書けないことの他に、赤ちゃんのときにハイハイが上手くできなかったとか、キャッチボールができない、靴紐が結べない、姿勢が崩れやすいなど多くの特徴があります。
例えば、ハイハイが上手くできなかった方は、原始反射のひとつである対称性緊張性頸反射が残っている可能性があります。
キャッチボールが苦手でボールの落下地点がつかみにくい方は、弾道を予測する経験学習の不足、移動のための下肢運動とキャッチのための上肢運動との連携が苦手、目と手の協応が難しい可能性があります。
靴紐が結べない場合には、結ぶ手順を再現しにくい継次処理の課題や、先ほどの目と手の協応に関する課題も考えられます。
この課題は非対称性緊張性頸反射の残存が疑われ、字が上手く書けない、字のバランスが悪いことにも関係していると言われています。
姿勢は、体幹の筋肉の課題であったり、重力を感じる固有覚やバランスを感じる前庭覚の異常であったりもします。
支援者でもない限りは、こうした○○症とか、××反射などは覚える必要はないと思いますので、いろんな原因が考えられるんだなぁということと、それだけ原因が多様に考えられるなら、対応策も多様であるはずだと思っていただければ十分です。
そして、適切な対応なしに「まず書かせる」という選択は良くないかもしれにということにご賛同いただければ嬉しいです。ちなみに、一定の水準を超えた児童発達支援事業所や、放課後等デイサービス事業所ではこうしたことに対する具体的支援を行っています。
また私の近隣では、埼玉県立蓮田特別支援学校が、保護者向けのおたより『自立活動だより』にて原始反射についての情報をネット公開含め、お知らせしてくださっています。
こうした放デイや支援学校の取り組みは、遊んだり体操したり、楽しく注目したりと様々です。
近年では、ロボット教室の取り組みによって空間認識能力が刺激されるだけではなく、観察力や論理的思考力が育まれるのではないかと注目されています。
書くことが苦手なお子さんは、一旦そこから離れて、関心があることや楽しいと思えることに目一杯取り組んでいくことが書くことへの近道かもしれませんね。
【執筆者紹介】大内 雅登(おおうち まさと)
LD専門家庭教師Study&Dialog講師/Care-Media Labo主任研究員/(一財)発達支援研究所客員研究員。自身の経験と、支援現場での実践の双方から、対話を基盤とした支援のあり方を探求している。支援を「わかることから」ではなく、「ともに在ること」から捉え直す実践と言葉の発信を続けている。
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