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【当事者が語るパパとママ】保護者と当事者の認識の違い(口喧嘩編)(鈴木領人)

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鈴木 領人(すずき りょうと)

親と口論になることはよくありました。

よく言われたのは、「私たちが育てているのだから、口答えするな」ということが多かったです。

  • 口論するときには私はつねに冷静に相手と話をしないといけないという気持ちが強く、できる限り冷静に話をすることに努めていました。それこそ声を荒げるなどの感情は基本的に出さないようにします。
    たぶんそれが口論している相手からすると、苛立つポイントかもしれません。

    また、口論しているときには、今回話している内容ではない話を相手の分(ぶ)が悪いときによくされました。そこを「今の話とは関係ないよね」と諭(さと)すように言うのも、相手をヒートアップさせる原因だったように感じます。

    当事者としては、意見の食い違いをどう話せば伝わるかということが目標であって、けっして原因をうやむやにすることではありません。理由としては、自分に自信がないという気持ちから、また同じ過ちをしたくないので、理由をはっきりさせるということに重点を置くからです。

    親以外でも同じですが、口論中の相手が望んだ回答は基本的には出てこないです。

    常識という概念はいっさい考慮せずに自分の今まで生きた経験上の物事での判断で話すため、今までの経験で話すことで、考えかたを変える作業を口論中に行っています。なので、当事者の考えかたを変えるというのは、当事者が体験した経験と保護者を見ていたときの行動など、今までのすべての経験上の行動に対して口論の原因となることと矛盾が起きた場合、その記憶から、今回はなぜダメなのか、という話を延々と繰り返します。

    これは推測ですが、保護者としては謝ってほしいということを第一に考えていることが多いと思います。当事者としては謝るという行為は基本的に口論中は頭の片隅にもありません。謝ることがあるとするならば、当事者のいままでの行動に対してすべての矛盾に対して答えられたあと、自分の中で納得し、ある程度整理が終わった後なので、時間がある程度経ってからになります。

    実際、すべての行動に対応できる答えは実質的にはないため、当事者としては理解できず、親との言い争いは喧嘩別れになることがほとんどになります。

  • 私がこのことに対して考えかたが変わった瞬間のことは今でもはっきりと覚えています。


  • それは高校生のときで、どう考えてもこちらの言い分が間違えではないとはっきりとわかっていることに対して口論していたときに、「もしかして、親は間違えを認められないのかも」と感じることができました。当時の私は、親は神として考えていたようで、言っていることに間違えはいっさい無い。と思っていました。その矛盾から、「親も自分と同じ人間であり、自分と同じで過ちを犯すものだ。」と認識が変わったことで、私は生活が少し楽になりました。

    幼いころから先生の言うことを聞きなさい、親の言うことを聞きなさい、と言われていた結果、それが自分で考えて行動し、責任を取ることに対してのある種の逃げ道になっているように思います。

    現実の生活では、正しい行動だけで生活するのは、人間誰しも難しいです。それを「そういうときもある。」と許容できるようになることが大切であり、0%・100%で考えることが多い当事者としては、なかなか受け入れるのが難しいところかもしれません。


     

  • 【執筆者紹介】鈴木 領人(すずき りょうと)
    精神障害者手帳3級所持(ADHD)
    経歴:児童指導員、地方公務員、プロ家庭教師、学習塾講師、学習塾教室長
    ひと言:児童指導員として、3年程働いておりました。現在は札幌にある学習塾の教室長として働いております。定型発達者と発達障がい者との橋渡し的な役割が出来ればと思い、療育現場で身につけたことや当事者としての目線を大切に日々の指導をしています

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