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【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】
⑥ 運動なんてだいきらい?実技編

この記事を読むには8分ほどのお時間がかかります

中水 香理(なかみず かおり)

私にはふたり、可愛く憎たらしい子どもがいます。
この子たちが幼いときに・・・「お母さんって、どんな人?」と保育士さんに質問されたことがありました。

  • ふたり同時ではなく、別々のときに聞かれたのですが、同じ答えでした。

    「かっこいいおかあさん!」

    「やさしい」とか「かわいい」とか・・・じゃない?
    「かっこいい」のか!

    身長が170㎝近くあります!子どもが幼いころの髪型はショートカット!(今は女性らしく伸ばしてます)
    私の教員免許は「保健体育」
    公共の女子トイレに入ると一瞬!「えっ?」と振り返られることもあるくらいいい男(?)に間違えられることも・・・(実話です・・・)

    先日、息子に・・・
    「たぶん・・・友だちのお母さんとか、世間一般のお母さんと違うよな。なんか、昔と変わってないよな。」
    これからも「かっこよい母」で・・・がんばろう・・・かな(笑)

    前回の続き!となってきますが、小難しい話は、いろいろな解説書や文献で知ってるから・・・と言われそうな感じで・・・
    「運動なんか・・・」と言われない療育の実践編です。

    では、「どないしたらええねん!(訳:どうしたらいいの?)」

    カラダを動かすことが目的というよりも、ちょっとした工夫が興味をそそるものになり、楽しめる療育に!と意識できればと思います。

    具体的な例を挙げてみましょう。

    ●パターンⅠ
    カラダを動かす基本の「歩く」をちょっと楽しいトレーニンングに変えてみましょう。



  • 模造紙や新聞紙を用意してください。
    足のサイズよりもちょっとだけ大きく千切りましょう!

    千切ったら、床において一歩!進みます。
    また千切って、床におき、一歩!進みます。

    ゴールを決めて、行きたい方向に千切った紙を床において進んでゆく。
    ただし!床に足がダイレクトに触れたらアウト!最初からやり直しです。

    難易度を上げる場合、スタートとゴールの間に障害物を置いてみてください。

    腕の動き(ちぎる)と足の動き(あるく)、しっかりと紙を踏みつけることを忘れないこと。
    意外と考えながら全身運動になります。


  • ●パターンⅡ
    もの(道具など)の動きを予測しながら動いてみましょう。

  • 机と紙コップ、ピンポン玉を用意してください。
    紙コップにちょっとした工夫をします。
    かわいい絵やシールを貼ることで潰さないように持つことを意識させましょう。

    机の端からピンポン玉を転がし、落ちる瞬間にキャッチ!
    机の角にぶつからないように注意しながら行ってください。

    難易度を上げる場合、机の縦横を使って、転がす距離を変えてみてください。
    ピンポン玉を2~3個を時間差で1個ずつ転がして、すべてキャッチするようにしてください。
    ビー玉やスーパーボールなどの大きさを変えることもおススメします。

    注意力や集中力、ゲーム感覚ですが動きを考えます。
    ピンポン玉をすくいとるような動きになるので、ひざや腿(もも)、腕や肩などバランスも必要ですし、全身使うことになります。
    ただし、安全に配慮ください。


  • ●パターンⅢ
    「合図」に合わせて行動してみましょう。

    (基本パターン)
    机の上に色カードをランダムに置いていきます。

  • カスタネットが2回たたかれてから、支持者が見せる色カードの上に手をのせます。
    色が同じであれば成功!

    カスタネットが3回たたかれてから、支持者が見せる色カードには反応せず、動かない。
    動けば失敗!

    カスタネットをたたく際には、ゆっくりや早くなど速度を変えたり、変則リズムにすることで難易度を上げることができます。

    (応用パターン)
    床に色カードをランダムに置いていきます。

    2~5人でスタートラインに待機します。
    カスタネットが2回たたかれたら、色カードを確認します。
    二人で色カードを探して持ってきます。

    カスタネットのたたかれる回数は人数。
    人数以外の回数をたたかれたら、スタートから動いてはいけません。
    また、2回なのに3人スタート位置から動いたら失敗!

    基本と同じで、カスタネットをゆっくりや早くなど速度を変えたり、変則リズムにすることで難易度を上げることができます。

    人数が増えると「ルール」が必要になります。
    動く順番を決めたりすることで「SST(ソーシャルスキル・トレーニンング)」にもなります。

    運動の四つの要素。
    ・移動
    ・操作
    ・協調
    ・姿勢保持

    紹介したパターンの支援は、運動の要素を取り入れたものです。
    このままでなくても、これをベースに工夫してほしいです。

    とくに「運動」と決めつけるわけではないのですが、カラダを動かすことは「脳」への刺激が大きく、幼いころから成功体験を積んでいくというが見た目にも理解しやすい利点があります。

    この利点は失敗し続けると「できない」という弱点に転じてしまいます。
    「できない」のではなく、「やろうとしない」ことが怖いと思っています。

    「どうせ・・・できないもん」=「やりたくない」
    この言葉をひっくり返すのは容易ではありません。

    簡単なことで勝負ではなく、「できた」を導き出す。

    ●パターンⅣ
    成功することがいいとは限らないが、創意工夫が全身をつかうきっかけになります。

    それはドミノ!

    「なんとか・・スイッチ」?みたいなかんじでもいいです。
    ただし、できるだけスペースを大きく使うようにしてください。

    私のいる教室では「ジェンガ」をつかってドミノをやっています。

    ドミノ用のチップではないのですが、結構バランスをとるのが難しく、並べるのに全身を使っていることが多いと思います。

    失敗することも多いのですが、できる出来ない関係なく、嬉(うれ)しそうに倒しています。
    かしこまって、「運動するぞ!」と頑張らなくても、カラダをいろいろ工夫の中で使えるほうが自然でいいと思います。

    学問的には、3歳前後からカラダの動きを意識した療育を行うことが推奨されていることが多いです。
    「不器用」を早期に解決する糸口を探すためと言われています。

    保育園や幼稚園で行われている内容が主であり、療育を考えている内容ではないのでは?と考えてしまいます。

    脳の構造の話をすると、脳の前方に言語のシステムがある部分(言語野)の近くに運動を司るシステム(運動野)が存在します。
    運動を行うことで言語が出やすくなったり、言語が出るようになるとカラダの使いかたが変わると言われています。
    実際、体操教室やスイミングスクールのコンセプトの中に学習能力(集中力、判断能力)を向上させるというものがあります。

    このことから幼児期の習いごとで昔からスイミングスクールが人気なのは、脳の構造が関与していると言われています。

    これは「一般的」なことです。

    脳のシステムエラーを起こしている発達障がいの子どもたちを考えると、このとおりにいくか?と言われると問題があるようにも思います。


  • 効果はあると思いますが・・・
    状況と発達の経緯を見ながら、ゆっくりと楽しみながら、「できない」「やらない」という意識を作らせないようにすることが重要だと思います。

  • 慌てない。
    あせらない。

    関西弁で言うと「ぼちぼちやろか」って感じですかね。

    成長に順番を付けるのは難しいと考えています。
    できることは、それぞれ違うように・・・

    今日も「ほな!そろそろやろか(笑)」と声掛けして、支援はじまり、はじまり・・・

  • (個人ベーシック閲覧期間:2019年10月17日まで)

  • 中水 香理(なかみず かおり)

    活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)

    ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)

    「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。

    (「中水 香理」執筆記事一覧)


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