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【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】
⑦何ができるかな?やってみたいな!

この記事を読むには8分ほどのお時間がかかります

中水 香理(なかみず かおり)

「趣味は何ですか?」
先日、支援で行っていた「質問大会」をしたときの内容です。

  • 私の「趣味」?なんだろう・・・
    毎回のコラムで載せている絵(イラスト)がありますが、自分で書いているものです。
    絵を書くのは・・・趣味ではないかなぁ。

    もともと体育の先生だったので、スポーツ大好きなので「スポーツ観戦」・・・は、観るのもやるのも好きだけど、趣味ではないかなぁ。

    手芸?レジンを使ってアクセサリーを作ったりするなぁ。
    謎解きゲーム?仕事が忙しくなるとやらなくなるよなぁ。
    音楽鑑賞?セカオワ、欅、バックナンバー、玄師様・・・趣味なんだろうかぁ。

    趣味の意味をみると
    専門的に行うものではなく、楽しみとして愛好することなんだって・・・

    私の趣味は、なんだろう?

    支援中にいろいろな質問やクイズをすることで言葉の数(語句)を増やすことができるので、頻繁ではないのですが行うことが多いです。
    いろんなことを教えてくれたり、逆に教えて欲しいと質問してくれます。

    支援を行うときに、必ず意識することがあります。
    「療育」とは、なにか?

    心身に障がいのある子ども(児童・生徒)が、「社会人」として自立できるように医療分野と教育分野がバランスよく成長に関わることだと思っています。

    「社会人」として自立するために必要なこと。
    答えではないのですが・・・「できる」ことを増やす。
    永遠のテーマかもしれません。

  • 「できる」こと。
    このように聞くと、やはり具体的に何か?と考えると「行動」「動作」を想像する人が多いのではないでしょうか。


  • 以前書いた「指先トレーニング」を少しだけ発展させましょう。

    「はさみ」
    教育関連の書物には、2歳前後で使うことが推奨されていて、幼稚園の年中(4歳)には使いこなせるようになっていることが想定されていることが多いように感じます。

    使えるようになるといいけど・・・あぶない!
    刃物は危険だから、慎重になってしまいますよね。
    それに刃物がなくても、手で裂けるようになっていたり、野菜や果物もカットされているものも多く販売されています。

    使わなくても・・・なんて考えないでください。
    急に世界がひろがりますよ。

    では!と言いたいですが、すぐには使いませんよ。
    使うまでのプロセスを見ていきましょう。

    指、手、手首、ひじ、肩、腕全体と首や頭の位置なんかも重要です。
    結構、はさみを使うときにカラダの広範囲の部位を使います。

    はさみを使うために、まずは「粘土」で遊びましょう。
    口に入れても安全なものを使ってください。
    お米でできているものなど、安全性の高いものが販売されています。
    100均でもあります。

    「つまむ」「握る」「はさむ」など、はさみを使うときに必要になる動作の基本的な練習になります。

    次の段階に進みましょう。
    「洗濯ばさみ」の大きなもので、指の動きと力の入れかたを意識させます。
    人差し指と親指を主に、中指を添えるようにしてはさむ練習をします。
    「パワー!(ちから)」と「親指が動く」かです。

    親指?
    ほかの指も動かすのでは?と思われたのでないかと思います。

    手の構造的なものです。
    親指の筋肉は、ほかの指よりも大きく、動かしやすい構造をしています。
    具体的に動かすというよりも、意識させるといった感じです。

    洗濯ばさみの練習が終われば、使いかたの注意を教えてあげてください。
    何度も!です。

    ・絶対に人に向けない。
    ・持ち歩いたり、振り回さない。
    ・指示されたもの以外は切らない。
    ・座った状態で使う。
    ・大人と一緒に行うこと。(言われた指示に従いましょう。)

    ほかにも必要な指示がある場合、その場で付け足すのではなく、事前に約束ごととして支持を出してください。

  • 重要なことが、もうひとつ!
    右利き、左利きも重要な要素です。どちらの手を使うかを確認してください。


  • どうしても右で使えるようにしたいというような強制ではなく、特性を見るというか・・・
    対面で進めようとすると、右は左と勘違いする場合があります。
    横並びで作業を行うことを勧めます。

    いろいろな条件や特徴をみて、右利きなのか左利きなのか。
    使いかたの約束事を何度も教えてあげながら、ようやく実践となります。
    はじめは、何も切りません。
    子ども用のはさみ(手の大きさなど、購入前に確認してください。)を使うこと!
    しっかりと指、手がはさみを動かせるかをみてください。

  • そして・・・やっとです!切りましょう。
    ・・・・・と言う前に、ちょっとしたものを作ってみましょう。
    切るための台?というか、カット練習マシーンというか・・・
    ダンボールで簡単に作れます。
    安全装置的な役割もあるので、お手間でなければ作ってみてください。


  • マスキングテープで可愛くしたり、お気に入りのキャラクターシールを貼ってヤル気を倍増させてあげるのもいいかもしれません。

    切るものをダブルクリップで止めて、外れないことを確認してください。
    毛糸を1本から、重ねて5本くらいまで切れるようになれば、画用紙を2㎝~4㎝幅のものを用意してください。

    カット練習マシーンの作りかたです。



  • はさみを動かす部分のサイズは、はさみの刃が基準になります。
    縦は、はさみの刃の長さ+2㎝ (写真のものは6㎝なので、8㎝になります。)
    横は、15㎝~25㎝程度で、子どものカラダの大きさを考えてください。

    片手で持てることが条件になります。
    ダンボールでつくるのは、軽くて丈夫だからです。
    潰れたら、作り直せることもダンボールの利点です。

    持ちにくければ、ダンボールを2枚重ねるなどの工夫をしてもらっても構いません。

    使用するとこきには、はさみだけを意識させてはいけませんよ!
    はさみを持たない手も切るものを持つ役割があります。
    カット練習マシーンは、切るものを持つときの意識をつけることもできます。

  • 練習マシーンを卒業したら、たてやよこ、ななめなどの方向に切っていきましょう。
    その際には、無料サイトの「はさみの練習」シートを使うとたのしいですよ。


  • はさみをしっかりと持つのは基本ですが、切る紙などをどのように持つのかを教えることが大切だと思います。

    はさみの練習シートで切る場合、紙を持つところに「しるし」などを入れておくことをおススメします。


  • 写真のように、切る点線の色と同じ星に親指をおくなど、わかりやすい支持を出しましょう。
    練習が進めば、しるしを小さくしていき、無くても安全に切ることができるようにしていきましょう。

  • 忘れないでください。けがをしない!させない!
    絶対に目を離さないでください。
    怖がるきっかけをつくらないことです。

    とっつきにくくないように書いたつもりですが、面倒くさいかもしれません。
    ひとつひとつ、丁寧に手間を掛けてあげること。
    できないときには、違う方法を考えればいい!

    道具を使うことを苦手にしている子どもに、楽しくきっかけをつくってあげることができたらいい・・・そんな気持ちです。
    諦める前に、もう一度考えてみましょう。

    「できる」ことを増やしてあげること。
    子どもたちが生活をしていく上で、自立を目指すための一歩を導くために!

    豊かな心を育てることにつながるかもしれないですね。

    私の心を豊かにしているのは、イラストを書いたり、音楽を聴いたり、スポーツを楽しんだり・・・いろいろな知識を得ることができることがらたちに囲まれているから!できることがたくさんあるから!

    私ひとりで豊かな気持ちでいるよりも、いろんな人と共有したい!
    今回も、そんな想いで言葉を紡いでいます。

    さあ、時間だ。
    子どもたちは、今日何の話をしてくれるかな。
    わくわくしながら、準備しよっと!

  • (個人ベーシック閲覧期間:2019年10月1日まで)

  • 中水 香理(なかみず かおり)

    活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)

    ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)

    「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。

    (「中水 香理」執筆記事一覧)


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コメント欄

  1. まー まー

    社会人として自立するためにできることとして「できることを増やす」とあり、とてもよい視点だと感じました。これによって新しい発見やものの考え方ができるようになりますし、そこから探求心やワクワク感が生まれて積極的に学ぶようになります。その例としてはさみの例があり、非常にわかりやすかったです。
    私自身、読書、音楽、映画・ドラマ鑑賞、整理整頓など好きなことがたくさんあります。正直、いろいろなものに手を付けていて中途半端なように感じていましたが、それによっていろいろな知識を得ることができると考えれば、これらから影響されて今の私がいるのだなと感じました。趣味がひとつの人もいれば、たくさんある人もいて、そのことに、いいも悪いもないのだなということに気づかされました。

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