【親子の関わりのこれまでとこれから】③
児童発達支援センターの様子と買いもの外出
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普段は仕事上で発達障がいに関わりがありますが、自分自身や家族に関する発達障がいについてはこれまで発信する場がありませんでした。あくまでも私事で主観的といった面もありますが、この連載では、自分自身が経験した視点からこれまでのことについて発信できればと考えています。
齊藤 博之(さいとう ひろゆき)
前回は幼稚園での様子を書かせていただきましたが、幼稚園での生活は12月までとなり、1月からは児童発達支援センターに行くことができました。たまたま空きがあったこと、それまでは週1通園で行っていたことも幸いしました。そこでの生活は子どもが伸び伸びとできる環境が整っていました。まずは「子どものペースに合わせたカリキュラム」ということ、周りにPDD(広汎性発達障害。今でいう「ASD:自閉症スペクトラム障がい」)、知的障がいの子どもたちがいるという環境もマッチしていました。
当時はあまり喜怒哀楽の「喜」と「楽」を表現しない様子でしたが、日に日にそれが増えていく様子が家庭の中でも多く見受けられました。また、活動が、通園するようになって半年くらいから多くなりました。内容としては画用紙に絵を描こうとする、ぬいぐるみに興味を持つ、ボタンを押すとおしゃべりするおもちゃに興味を示すなど、いわゆる、子どもが興味を持つ活動を多くするようになり、親としてとても喜びに感じた部分です。普通がいちばんうれしい、と感じるのは現在も変わりありませんが、子が遅れているという現実を少しずつ受け入れるためには「小さなこと」への喜びを多くするという気持ちを大事にすることがとても大事な部分だと教えられた時期にもなります。
そして児童発達支援センターの先生方も、子どもに対してさまざまな面で「気づき」をお持ちの先生方で、同時に、それを親にも積極的に教えていただけたことや、行事への参加を通して、参加のたびに、親子で一緒に何かをすることの楽しさなども教わり、現在の基礎の一部を築いていただいたと言っても過言ではないくらい、感謝をしております。
現在も発語は「あ~あああ」など喃語が多いですが、このころに簡単なジェスチャーも少しできるようになりました。たとえば名前を呼ぶと手を挙げようとする動作が3回に1回程度ですが出てきたり、振り向いたりと、ものごとの理解もそうですが、こちらが言ったことを返そうとする意志が芽生えてきたころでした。このことも先に記載した小さな喜びであり、親として子を愛しく思うときが増えた、という実感でした。
3歳から4歳にかけて活動の幅も広がり、外出する機会も増えてきました。親としては今まではほぼ車移動のみでしたので、電車での移動に挑戦した時期です。
電車に乗り車窓から景色を眺めることが好きになり、電車の中では騒ぐことがなく、快適の様子でした。ただし、そのころに、なぜかはいまだに分かりませんが、駅のエスカレーターを見ると昇降しないと気が済まない拘りがあったため、電車が停車するごとに泣き叫ぶ様子がありました。最寄りの電車がすべて各駅停車だったため、当時はあまりにも泣き叫ぶため、ひとつひとつの駅に降り、エスカレーターで昇降して次に進むと言った行動をしていたため、目的場所まで普段は30分とかからない場所へ2時間近くかけて到着するといったことはざらでした。
そのうち1往復で満足していたことが2往復しないと気が済まなくなる、さらに3往復と言った具合にだんだんと増えてきたため、さすがに電車は難しいという結論に達し、走っている電車を眺めるだけの外出が主となりました。結論を先にお伝えすると、現在でも電車に乗ることは苦手です。さすがにエスカレーターへの拘りはなくなりましたが、今では駅に一緒に行くまでがとても大変だからです。乗りもの自体は好きなので、今後のテーマではありますが、小さいころにもっと違う「楽しさ」を経験させればよかったと後悔しております。
また、スーパーや玩具屋に買いものに行くことも苦手としていました。これは理由が何となく分かり、人の多さや意味不明なものが多量にある空間の恐怖だと推測して、対策をしました。
スーパーでは私がつねにおんぶをしながら商品を説明していく、人が少ない店舗に行く、玩具屋でも知っているキャラクターのコーナーで気分を良くして落ち着いたころに別のところに行くなどです。これは功を奏したのか、しばらくは大丈夫でした。ただ、親は非情です。
こちらの都合でコンビニなど人が多く、しかもすぐに食べられるものが多量に置いてある場所も大丈夫だろうという思い込みで連れて行ってみましたが、やはりだめでした。「視界に入る物がすべて食べられる物」と勘違いして購入前の商品を口に入れてしまうことや袋ごと口に入れる行為があったりと散々な結果でした。そもそもお店で商品をお金を払って購入する概念がないための行動ですが、この理解をするまで数年を要することになります。
現在でもお腹が空いているとこの行動が出る場合があり、簡単には買いものが一緒にできないこともあります。ただし、本屋などは一緒に行けるようになるなど、悪いことばかりではありません。ものごとを細かく丁寧に繰り返し伝えていくことで、微増ながら理解は進むものと考えています。現在進行形では、そういったスタンスで子どもと接しています。
次回は小学校に上がる前の苦悩と放課後等デイサービス探しと様子を記載させていただきます。
(個人ベーシック閲覧期間:2020年2月22日まで)
【執筆者紹介】齊藤博之(さいとうひろゆき)
埼玉県、愛知県などで12年間老人介護(主に認知症)や障がい者との関わりを経て発達障がいの仕事に就いております。趣味は興味のある物の収集(現在はジーパンや靴)、性格は我慢強いが場合によっては短気な一面もあります。自分の子との関わりや今までの経験を踏まえた内容を連載していきます。
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