【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】⑧
感覚?間隔?創造へのみちのり
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中水 香理(なかみず かおり)
ぼ~っとしながら、温泉に浸かりたい・・・
ここ何年かの夢(切実なる希望でもあります!)です。
仕事でなく、どこかに旅行に行きたい・・・行った先で温泉があれば最高だな!
なんていいながら、琵琶湖の近くや奈良や京都の古都近くにある教室へ研修を行うために電車、バスにお世話になっています。休みを使って、日帰りでもいいや!と出かける予定は台風様に邪魔されたり、交通機関の都合(事故とか、工事とか)で行けないことが多いのは、運の問題でしょうか・・・
ネットの動画サイトでいろんな観光地を見て、自宅の風呂で想像力を豊かにするしか、今は仕方ないと諦めています。
そろそろ旅行にいい季節になってきたので、おススメがあれば教えて欲しいです。
リラックスする方法を考えてみるといろいろありますが、療育に来ている子どもたちは、なかなかうまく気持ちをゆだねてはもらえない状況があります。
落ち着かないというか、落ち着けないというほうがいいかもしれません。
初回で書かせて頂いた「感覚過敏」。
脳が触れたり、聴いたり、感じたりする感覚の反応を正確に理解するシステムがエラーを起こしている状態です。感覚過敏などを起こす脳のメカニズムをちょっとだけ説明したいと思います。
脳と感覚の連携を「感覚統合」と言われたりもします。「感覚」というのは、いくつかに分類されます。
基本的な感覚は「顔」をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。目:視覚 耳:聴覚 鼻:嗅覚 舌:味覚 頬(皮膚):触覚
カラダの状態、筋肉の伸び縮みや関節の曲げ伸ばしによる腕や足の状態を「固有受容覚」といいます。
カラダを動かす状態、カラダを倒すなどの斜めや横に傾けたり、ブランコで揺られたり、速さを感じる状態を「前庭覚」と言います。外からの「刺激」を脳と各カラダの部位(腕や足、頭など)が、スムーズに情報のやり取りができると「感じる」ことができます。
「刺激」が、食べものだったり、自動車のクラクションだったり、花のかおりや光かもしれません。場合によっては、人との交流も刺激として感じることがあるかもしれません。聴覚、視覚は生まれた段階で機能を果たそうと脳が反応します。
声掛けされたり、抱っこされたり、「いないいないばぁ~」などのほかの人(お父さんやお母さんなど)から動作による刺激に反応できることが増えていきます。泣くしかできなかった赤ちゃんが、動くものを目で追ったり、音におどろいたり、カラダの成長に関わることがら(刺激の内容)で、目、耳など各感覚器が反応できるようになります。
柔らかい赤ちゃんから、首が座り、寝返り、座ったり、つかまり立ちができるようになると幼児に成長していくと関節がしっかりと形づくられて、固有受容覚や前庭覚のようなカラダの作りが関わる機関が、動作を伴うことで感じられることが増えてきます。
生まれながらにして「感覚」は自然に備わっているものではありますが、刺激に対する「反応」のしかたが問題になるのです。脳がシステム上で理解できなかったり、反応を出せなかったりすることで「障がい」が起こってきます。
ちょっと前の・・・掲載5回目のコラムで書かせていただいた「運動嫌い」の内容で書いた
・移動
・操作
・協調
・姿勢保持の四つの「運動」はカラダの成長によって「脳」が「感覚」をつかさどる各機関(カラダの基本的感覚)の反応と経験を積むことでできるようになるものなのです。
感覚をトレーニングする方法は・・・あるのですが、結構大がかりな装置が要る場合もあって、大変なんです。
感覚統合の訓練は、作業療法士の方などがプログラムをつくられることが多いです。
・・・でも、できることを考えるのが、仕事なので・・・今まで書かせていただいた内容で、ビジョントレーニング、カラダを使った遊びや運動的なゲームなども有効的なものです。
ほかにいくつか紹介します。
●ミノムシの気分
大きな毛布やシーツ(季節で考えてください。)を用意してください。
そして!カラダ全体をラッピング❤カラダへの布が接触する感覚、くるまれるので落ち着いてくれることが多いです。
イライラしたときや眠れないときに安心感を持たせるために行ってもいいと思います。
ストレス解消につながるものとして・・・
●新聞びりびり
大きく1面、カラダを使って破ってみたり、細かくちぎって紙吹雪にしたり、いろいろできます。力が弱い場合は、切込みを何か所かに入れてください。
破る動作は、紙が大きければ大きいほど、全身運動になります。●ロープの道
ロープを使うといろいろな「歩く」「飛ぶ」「跳ねる」運動ができます。・ロープの上を歩いていく。
・ロープをケンケンで跳ねて越えていく。
・ロープの輪から飛び出る。縄跳びのように飛んだり、ロープの形状を利用して潜ったりもできます。
「体幹」といわれる姿勢を保つための筋肉たちに刺激を与えることができます。
ロープはホームセンターなどで「㎝(センチメートル)」「m(メートル)」売りされているので、購入しやすいです。
●うさぎはドコ?
カラダを固定した状態で、目だけを動かして目標物を見続けるものです。どうしても頭を動かしてしまう場合、顎を机上で手やタオルなどである程度、位置を固定します。
うさぎなどのキャラクターを棒状の先に取り付け、目で追わすように動かしていきます。
●1から数えましょう!
プリントに書かれた1~30の数字を順番に指で押さえていきます。
並び順は、ランダムに文字の大きさも工夫されると面白いです。難易度の調整も数字の数や文字の大きさで簡単にできます。
お家でも「できるもの」で考えてみました。
いろいろなことができることも大切ですが、安心できること。落ち着けることが、とても大切だと思います。落ち着いた状態で、カラダの使いかたや判断するための見る力を養っていく。
「できること」を増やす。感覚の違いを理解してあげることは大変難しいと思います。
様子を見ながら、できると自信を付けてあげられるかが大切だと考えています。今回もいくつか例を挙げさせてもらいましたが、親子でやってほしいと考えています。
たくさん笑いながら、楽しんでやって欲しいです。
できたら、思いっきり褒めてあげてください。どこか遠くにお出かけするのもいいですが、何気ない日常に笑顔が絶えない時間があるほうがいいのではないでしょうか。
そうだ!私も家でのんびりしよう・・・できたら・・・たぶんできると思うけど・・・
その前に、今日は何ができるかな?
ネタを仕込まないと!
(個人ベーシック閲覧期間:2019年11月15日まで)
中水 香理(なかみず かおり)
活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)
ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)
「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。
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