【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】⑨選択。15の春にさくらの花(1)
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中水 香理(なかみず かおり)
「スマホで調べものできないから、機種変して欲しい。」
息子から・・・かなり前から言われているのに、「考えとくわ・・・」と濁していた案件。
「マジ!何年これ使わすねん(怒)」
中学3年生まで、スマホを買い与えていませんでした。
買い与えたけれども、3年以上機種変せずにいたのですが、壊れてしまいました。
2ギガで家でしか使えない設定で、よく頑張ったと思います。
ところで、何を調べるの?
「大学のオープンキャンパスに行くから、場所とか特徴とかだよ。」あ!息子は受験生だった。
季節が秋めいてきて、気づけば年末の話が出てくる季節になりました。
思い起こすと、このコラムを書き出したのが夏でしたから・・・(企画を頂いたのは春でしたが、気づいたら7月でした!)
今年の夏は・・・というより、異常気象と言われるようになって、台風やゲリラ豪雨など甚大な被害の出ることが多くなっているように思います。みなさんの地域は大丈夫でしたでしょうか?
晩秋の時期になると、教育関係の仕事をしていると話題はひとつに絞られてきます。
「進学」とくに「高校受験」について決定時期に入ってきます。
この時期の模試は、受験の合否に直結すると言われていて、合格率など結果を見て一喜一憂することもあります。中学までは「義務教育」。
社会に出るとき、学校でどのような経験をしてきたのかが「学歴」と言われるものになります。
さまざまなことを考えながら悩みながら、選択されていると思います。
「最終学歴」
この大きな壁に「15歳」で立ち向かう子どもたちと保護者の方々。はじめて受験生を持つ保護者の方は、不安が大きいと思います。
「道しるべ」になるか分かりませんが、ちょっとだけ 興味を持っていただけたらと思っています。〇高校進学って、どのように決まるの?
小学校を卒業の後、中学校に進学され、義務教育が終了した後は?
高校へ進学したいが、何を基準に考えたらいいのか・・・分からない方が多いと思います。
まずは、「学校」に聞かれる方が多いと思います。「どんな高校なのか、オープンキャンパスや学校説明会へ行ってみてください。」
と言われて、どこへ行けばいいのか・・・この話を進める前に原則として、進学の決定権は保護者にありますが、出席率や教科の成績は学校が管理されていること、受験のために必要な書類などは学校が発行するものです。
つまり、保護者と学校の意思疎通が重要になることを理解しておいてください。中学校に通われている場合、中間や期末の期間試験や実力試験、大阪など一部地域で導入されている「チャレンジテスト」(地域の中学校事態のレベルを確認)によって点数化された教科成績が受験に必要です。
出席率も進学するときに必要になります。
毎日学校に通えているだけでなく、体育祭委や文化祭、遠足、修学旅行などの行事に参加できていることも重要な指標になります。支援級にいても、通級に通っていても普通級と条件は同じです。
不登校であれば、試験や出席がないので「進学」のための指標がない、成績が出ないということになります。
ですが、試験当日の点数や面接で合格をいただける高校があることも知ってほしいです。中学までは義務教育なので、卒業はさせてくれますが、高校は不登校状態だと退学になってしまう場合があります。
事前に調べて、中学の先生に相談したり、オープンキャンパスなどで確認されることをおススメします。〇特別支援学校の高等部へ進学したい場合は?
学習や身体的に高等学校に通うのが難しい、支援学校に進学を考えようという方も多いと思います。文部科学省の「学校教育法」で定められている
第8章「特別支援教育」第72条
「特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」以前は、各障がい別で学校が設定されていましたが、2007年に「特別支援学校」として統合されました。
「知的障害者」に発達障がい(ADHD,スペクトラム、LDなど)の子どもたちが該当する場合があります。
発達障がいのある子どもの特別支援学校への入学時に必ず療育手帳が必要ではありませんが、軽度の場合、定員数の関係で許可されない場合もあるので事前に問い合わせをしてください。
2007年が障がいを持つ子どもたちの進学状況が変化していった年と言ってもいいでしょう。小・中学校の支援級や通級が見直されてきたのもこのころです。
ですが、高等学校には支援級が設定されていないことが多いです。
〇 普通科高校のような支援学校はないの?
大阪など一部の都道府県で「高等特別支援学校」が設置されています。特別支援学校の高等部ではなく、単独で各学校の技術特性を持った特別支援学校の高等課程です。
入学試験もあり、合格しないと入学許可されないというものです。
そこそこ倍率もあり、入試問題もペーパー問題と作業実技などもあります。大阪では、「知的障害」の子どもの入試は「高等特別支援学校」のほかに大阪府立・大阪市立高校に設置されている「自立支援コース」、大阪府立高校と高等特別支援学校で運営されている「共生推進教室」があります。
「自立支援コース」は高校卒業資格。
「共生推進教室」は高校終了書と高等特別支援学校の卒業資格がいただけます。
「自立支援コース」は高校に週5日通い、高校の所属となります。
「共生推進教室」は高校に週4日、高等特別支援学校に週1日通い、高等特別支援学校の所属となります。
入試は、調査書(中学時の成績や出席状況)、推薦状、面談(保護者同席)となりますが、各校3名の募集で倍率が2倍以上、人気のある学校の場合はもっと倍率が上がります。
大阪じゃないから、そんな制度はない!という地域もあると思います。
公立高校への進学も、各都道府県で違いはありますが、以前よりも制度が整ってきていると思います。大阪でも、この制度で進学できるのはわずかです。
〇「発達障がい」を事前に話したほうがいいの?
オープンキャンパスや学校説明会で、個別説明を受ける方も多いですが、学校について聞くためのものです。事前に話す必要はありません。学校で行われている学習対応の内容やスクールカウンセラーなどの専門知識のあるスタッフが常駐しているかなどを確認することが重要です。
受験時に集団でなく、個室対応などを希望する場合は、受験申込時に合理的配慮を希望することを伝えることが必要です。
このときに「医師の診断書」「個別支援計画」などの提示をしなければいけません。
中学校で行ってきた支援の実績や配慮なども伝える必要があります。どのような配慮をしてもらえるかは、文部科学省のホームページにも書かれています。
• 別室受検(自閉症、高機能自閉症、LD、アスペルガー症候群、ADHD等)
• 試験時間の延長(LD)
• 集団面接を個人面接で実施(自閉症)
• 問題用紙の拡大(LD、広汎性発達障害)
• 問題文の読み上げ(LD)
• 監督者による口述筆記(LD)
• 前日に試験会場の下見(高機能自閉症)
• 介助者が同席(自閉症)
• 保護者の別室待機(ADHD)
• 学力検査問題の漢字のルビ振り(LD)
• 集団面接の際、誰かが先に行動を見せないと自分ではできない面がある生徒に対し、同じ中学校の受験生と同じグループで受検させた(アスペルガー症候群)
• 面接の際、質問をわかりやすく伝え、回答を急かさない(LD)
• 面接の順番を早める(高機能自閉症)「障害者差別解消法」という法律で義務付けられています。
受験時よりも入学後のことを事前に知ることが重要になります。
・・・・・大変だぁ。
そう思われた方も多いと思います。徐々に変化してきている内容です。
今後、さまざまな形で制度は変わっていくと思います。まだまだ先の話・・・だけど、心配だ・・・と話される保護者さんも多い内容です。
今日はここまでかな。
次回も、この話題にちょっとだけお付き合いください!
(個人ベーシック閲覧期間:2019年12月1日まで)
中水 香理(なかみず かおり)
活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)
ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)
「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。
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