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【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】⑭きこえる音、みえる色、学校へいきたい?

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中水 香理(なかみず かおり)

月に一度、発達支援研究所の研修があります。
WEBでの研修なので、お顔を拝見できるのですが、ちょっと寂しい感じがしているのは、山本登志哉先生に直接お会いできないからかも・・・なんてことはありません。

  • 研修の内容は、発達障がいの特性や基本的な学術内容だったり、日本における支援に関する法令や行政の対応についてなどさまざまです。

    内容が濃いので、油断すると分からなくなります。

    下調べというか、テキストを予習するかのように目を通すのですが、読むよりも具体的に話してもらえるので、ほんとうに助かります。

    この年齢になり、学ぶ時間があることは貴重だと思います。
    でも・・・学ぶことは「苦痛」を伴うことがあります。
    「知らないこと」への自尊心の喪失、経験の中で学び直す過程の時間ロスなど・・・

    「勉強」はやっぱり・・・嫌いかも・・・
    ・・・うっ、胃が痛い・・・ストレス?

    毎日、学び舎に通う子どもたち。
    いろいろな事情をかかえていると思います。

    「いろいろな事情」は、小さな石ころだったものが、雪だるまのように徐々に大きな塊になって、のしかかられていることも。

    「学校、休みたい」

    ●学校にいけない?いかない?
    不登校の子どもについて講演を聞いたことがあります。
    学校って何なのでしょうか?

    文部科学省の文章に「不登校児童」の定義が書かれていました。

  • 「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの。」

    2019年度の文部科学省の報告によると
    小学校と中学校の不登校者数は、16万人以上で前年度から14%以上増加しています。
    不登校者が多いのは中学校だそうです。


  •  
  • 心理的にしんどいという状況が一番の要因ではないかと感じます。

    しんどいというのは、関西弁です。
    「つらい」とか、「えらい」とか、「きつい」とか・・・そんな感じです。

    「しんどい」状態は、いろいろなパターンがあると思います。

    ・学校に馴染めない
    ・友だちや先生など、人間関係が取りづらい
    ・生活リズムがみだれている
    ・無気力
    ・非行など問題行動の原因
    ・進級、進学のプレッシャーから学力低下

    などなど。

    さまざまなことがらがあります。
    ですが、不登校者の大半は心理状態を伝える方法が分からないのです。

    文部科学省の不登校調査2001年度結果の中に
    「不登校との関連で新たに指摘されている課題として注目されているものに、学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)等があります。これらの児童生徒は、周囲との人間関係がうまく構築されない、学習のつまずきが克服できないといった状況が進み、不登校に至る事例は少なくないと指摘もあります。」

    教育の過渡期と言われる「ゆとり教育」の終焉(えん)時期。
    「脱ゆとり教育」を打ち出され、変化に富んだ時期に発達障がいによる要因が予見されていました。


  • しんどい状態が当事者本人だけでなく、関わりをもつ周囲の人たちが理解できていないことで大きく捻じれていきます。

    ●要因、理由を知るほうがいいのか?
    発達障がいでなくても、誰もが不登校になり得ます。

  • 今も昔も変わらない、あることがらが解決の糸口を無くしてしまうどころか、追い込むきっかけになってしまいます。

    「学校に行くのが普通」

    学校へ行かないことが悪いことになっている現状。
    勉強が遅れることへの恐怖にも似た感覚。
    みんなと同じことができない罪悪感。

    学校へ行けない自分は「悪い子」「駄目な子」になってしまうのです。

    問題解決のために、行けなくなった理由を考えて・・・どうしますか?

    ・周りの状況に対応できなかった
    ・ずっと一生懸命頑張っていたけど、これからも頑張らないといけない
    ・友だちがいなくなってしまう
    ・言われたとおりにできていない

    不登校になるまでに多くの問題が山積してきたから、不登校になった時点では何も解決できないところまできているのです。

    何日も休むことで、自己否定や不快感から逃れようとする意識が強くなっていきます。

    「何で学校を休むの?」
    この言葉が、ずっしり重くつらい気持ちを増幅させていきます。

    ●社会と向き合うために
    発達障がいの子どもたちは、コミュニケーションの取りかたがうまくいかず、苦手に感じていることが多いと思われます。

    一般の小学生や中学生はテレビを見ることよりも、スマホやゲームに費やす時間が多くなったことで、孤立していることに気づかないでいることもあるのではないでしょうか。
    「自分の世界」をもち、思うままに行動してしまうと言うまでもないと思います。

    SNSなどは間接的なつながりでしかなく、「目をあわせる」「人の顔色をみる」といった行為ができない子どもが多くなっていると思います。

    コーピングスキル(ストレスを処理する能力)も低く、傷つくことが怖くてコミュニケーションすることができないと思ってしまいます。
    不登校になることで、より人とのつながりが希薄になり、社会との関係も絶たれてしまうことがあります。

    不登校になる前に、なったとしても早期の段階で周囲の人たちが「気づいてあげること」ができるかです。
    「しんどい」状態であること、理由よりも状態を受け入れてあげることができるかです。

  • ●つながりを忘れない。
    不登校のきっかけは、本人にしか分かりませんが、ほとんどが複合的に関係して原因の特定ができず、自分を否定してしまう場合と他人を否定するしかない場合に分かれていきます。

    「本人の思い込み」をほぐしていく。


  • そばにいるだけでいいと思います。
    寄り添ってあげることができる時間を多く作ること。

    「学校を休む」ことは、「学校に行かない」ことではなく、社会から取り残されることではないと感じられるようにしてあげることではないでしょうか。

    人とのつながりを感じられる距離をとること。
    自分の居場所をみつける手伝いをしてくれる人がひとりでもいることが分かるようにしてあげることができるか。

    叱咤激励(しったげきれい)はいりません。
    充分ガマンして頑張ってきたのに、まだやらないといけないのですか?
    反発が逆境に対応なんかしません。

    人間、疲れたら休まないと・・・
    癒されたいと思うのは、甘えではありません。

    前を向く方法をゆっくり時間かけて、考えていける「居場所」をつくっていきましょう。

    コミュニケーションは怖いものではなく、暖かいつながりなんだと知ってほしいです。
    ほぐれるまでの時間、自分を感じられる、自分を大切にできるように過ごせる居場所を探してみてください。

    できることが見つかれば、とことん追求できるように褒めてあげてください。
    自己肯定感を高めてあげてください。

    以前書いたように、進学の方法はたくさんあります。
    協力してくれる各種機関もあります。

    「大丈夫!なんとかなる方法をさがそう」

    自分の考えがまとまらないなら、人に助けを求められるようになれるといいですね。

    たくさんの子どもたちを見てきたから「しんどい」状態を感じることも多いです。
    たくさんの親御さんたちを見てきたから悩ましい想いを感じることも多いです。

    気持ちに余裕をもっていて、優しい人がひとりでも増えることをねがって・・・

    今日も支援していこう!
    ちょっとでもできることが増えるように。

  • (個人ベーシック閲覧期間:2020年2月16日まで)

  • 中水 香理(なかみず かおり)

    活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)

    ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)

    「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。

    (「中水 香理」執筆記事一覧)


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