【なんちゃってJKの隠居生活】①
タイBLドラマが示してくれた可能性(前編)
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Pink Milk
タイBLドラマから世界のLGBTの差別の問題を解決するような大きな可能性を私は見いだした。
タイBLドラマとはタイ国内で制作されたドラマで、男性同士の恋愛を描くBL(ボーイズ・ラブの略)というジャンルの作品のことをさす。
タイBLドラマの盛り上がりは世界的なもので、タイBLドラマのある作品がTwitterの世界トレンド1位を獲得するなど世界的なブームを巻き起こしている。タイBLドラマの世界的な盛り上がりが意味しているのは、性的マイノリティーでも生きやすい社会を望んでいる人が世界中にたくさん存在しているということ。また、世界中の人々がLGBTの差別がなくなることを望んでいることが分かる。
タイ国内では男性同士の恋愛ストーリーのドラマが現在盛んに制作されており、人気もタイ国内にとどまらずインターナショナルのファンを増やし続けている。私もタイBLドラマを見始めてすぐに虜になった。タイBLドラマには、今までのBL作品にもLGBTをテーマに扱った作品にも、どれにもあてはまらない魅力があったのだ。
タイBLドラマの大きな特徴は、主人公が性的マイノリティーと認めるとき本人の抵抗感が小さいということ。また、主人公を取り巻く友人もLGBTに対して寛容で、主人公がカミングアウトをしてもすぐに受け入れる。このように、当事者も周りも寛容なので、LGBTに対して差別意識が感じられない。LGBTに対して差別意識が低いので物語の展開が暗くならない。国民性ともいえるタイ人の底抜けの明るさと相まってストーリーが明るいのだ。
また、タイBLドラマは完全に娯楽に寄っているわけではなく、当事者の気持ちへの配慮も進んでおり、LGBTの偏見や差別に対する問題もしっかり物語に取り入れられている。Twitterなどで当事者から共感の声が上がっているのも数多く見かける。
かといって、LGBTであることのリアリティを忠実に再現しているわけでもない。タイBLドラマは物語としての娯楽とLGBTのリアルを兼ね備えた、今までにないドラマとして確立している。
もともとタイでは性適合手術が数多くなされていたり、同性愛が日常的に存在していたりと、LGBTに対して比較的寛容で特別意識を持たない土壌が備わっていた。その中でタイは世界屈指の親日国であり、BLという日本の文化を好ましく受け入れてきた。
日本では50年ほど前から、コミックから派生したパロディの創作物として日本の女性たちから支持を得ていき、現在では国内に限らず女性を中心に数多くのファンを獲得している。
日本に大きな憧れを抱きながら、強い影響を受けてタイBLドラマは形成された。まさに、LGBTに関して寛容な土壌と、BLという日本発祥の文化が融合した奇跡といえるかもしれない。
私がタイBLドラマにのめりこんだのには、私自身が同じ社会的マイノリティーであるという理由があった。
私は発達障がいと診断されており、小学校のころから人と関わるのが得意ではなかった。同年代の友だちと話すときはいつも会話をつなげるのに苦戦していたのを覚えている。人付き合い以外にも担任の先生の話が最後まで聞けなかったり、どんなに起きていようと自分に言い聞かせても授業中に居眠りしてしまったりということがよくあった。自分は他人より劣っているのではないかと、ほかの人ができることを出来ない自分に劣等感や葛藤をもつようになった。
そんな中、私は発達障がいと診断された。そのときは自分が人と違うと感じてきた理由が分かって安心したが、障がいという言葉に引っ張られて素直に喜べなかった。心の中にある劣等感は消えなかったし、むしろ増大していった。中学に上がると人付き合いはより難解になったし、出来ないこともより明確に分かってますます自分と健常者との溝が深まっていき、自己嫌悪に陥った。
そんな私の心を癒したのは、BL漫画だった。主人公(男)が男を好きだと気付き世間の常識と異なる自分に葛藤する姿と、発達障がい者で生きづらさを感じている自分が重なりBL漫画に惹かれていった。
しかし当時のBL漫画はあくまでもファンの欲望を満たすための娯楽作品なので、LGBTの当事者に配慮がされているとはいえなかった。私は配慮が欠けている部分に違和感を持ちBL漫画のすべてを安心して楽しめずにいた。海外のLGBTをテーマに扱った映画にはリアルさは感じるものの、どこか性的マイノリティーであることに罪の意識が拭えきれてない感じを受けてきた。
私は今まで発達障がい者であることに罪悪感のようなものに囚われておりそれが普通なのだと思っていたが、私の概念を壊すようなことがタイBLドラマにはあった。タイBLドラマの主人公は性的マノリティーであることに背徳感が薄いため、そんな姿勢に私は感銘を受けた。
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【執筆者紹介】Pink Milk
関東地方在住。JKであるという実感が湧いていないJK。休日は家でゆっくり過ごしたい派。基本的に人混みへの外出は苦手。おいしいご飯さえあれば人生なにも困らないと思っている。
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