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【なんちゃってJKの隠居生活】③
Pink Milk Note:「これから」編

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Pink Milk

はじめに(編集部から)

「タイBLドラマが示してくれた可能性」前編後編、「日米で見るヒーロー像の違い」前編後編を執筆いただいたPink Milkさんは、今年3月に高校を卒業され、現在は大学生活を送られています。

このPink Milk Noteでは、高校生活と放課後等デイサービスでの学習の締めくくりとして、放課後等デイサービスで支援にあたられたOrange Cocoaさんとともに、これまでの学習や受験・進学後のこれからのことなどについて話していただきました。

はつけんカフェでは、Pink Milk Noteを2回に分けて掲載します。今回は、その後編となる「これから」編を公開します。(「これまで」編はこちらから

  • Introduction(Orange Cocoaから)

    放課後等デイサービスの利用終了となる3月末、メッセンジャーアプリを使って、Pink Milkさんと交わしたやりとりです。

    高校の卒業式を終え、大学入学を前にしたPink MilkさんにOrange Cocoa(指導員)からメッセージを送りました。

    大学生になるPink MilkとOrange Cocoaのやりとり

    Orange 高校ご卒業、大学合格、おめでとうございます! ここまでほんとうにねばり強くやってきましたね。

    Pink ありがとうございます^ ^ 第一志望の大学ではなかったんですけど、学ぶ内容は希望にあっているので、精一杯勉強に励みたいと思います。

    Orange これから大学でも学んでいって、さらに力を発揮していってくださいね。これまでを振り返ると、Pink Milkさんの高校受験が終わったころ、「サブカルチャーについて、作品を紹介したり、自分の考えを書いたりしたい」とPink Milkさんから聞いてそれから3年近く経ちましたね。

    Pink 当初は自分の考えを伝えることができるのか不安だったんですけど、それでもずっと支えてくださったOrange Cocoaさんのおかげで3年間続けることができました。(o^^o)

    Orange 3年もの間ほんとに根気よく、そして楽しくやってきましたよね。「タイBLドラマ」「ヒーロー論」などを支援の時間をつかってつくりあげてきました。Pink Milkさんの中にある感覚や考えを聞いてすくいあげ、言葉にしていく支援でした。そういう支援をしながら、私の知らない新しい世界にPink Milkさんに連れていってもらっている、そんな感覚をもちながらやってきました。支援という名前の時間を一緒に過ごしてきましたが、それは私のほうがPink Milkさんをサポートするだけではありません。私とPink Milkさんが相互に影響しあいながら、ふたりとも前に進んでいく、そういう活動だったと思っています。何より、私にとっても楽しい時間を過ごしてきました。

    Pink 私も本当に楽しみながら続けていたので、担当の方からそんな風に言っていただけて、とってもうれしいです^ ^

    Orange 大学進学も決まり、いよいよ春からは大学生ですね。

    Pink そうですね。大学合格が決まってからすぐにシラバスが届いたのですが、ひとりでは今後の予定が立てられなくて、履修科目を申請するまでひとりでは何もできなかったです。このとき、私には支援がまだまだ必要だなと思いました。

    Orange 大学のシラバスは、慣れないと見かたがむずかしいですね。新一年生は、シラバスで苦戦する人が多いですよ。

    Pink (o_o) 私だけかと思ってました。

    Orange 大学に直接電話で問い合わせたり、入学前でも大学のサークルに仮で入って、先輩に教わったり、そういう話を聞いたことがあります。

    Pink たしかに大学にも学生支援センターという生徒を支援してくれる場所が設けられています。ですが、私が通う大学は通信制なのでサークルはないのです。

    Orange そうでしたか、サークルはないのですね。大学では、文章でレポートを書いて提出する形式の課題が多くなりますね。

  • Pink はい。すっっごく不安です。 (>人<;) 私は長い文章を書くことが苦手なのでレポートのような課題をひとりで解決しなければならないと思うと絶望で気がくるいそうです。

    Orange レポートを書くときには、Pink Milkさんの脳にモヤモヤができると書けるのでしょうかね?

    Pink それだけでは長文を書き切るのに動力源として不十分な感じがします。モヤモヤが生まれなかった場合もすごく不安です。


  • Orange 「Pink Milk Note」の中では、興味のないことやそれまで考えてみたことがないものでも、自分の中にすでにあるものとの関連性をみいだせるとモヤモヤがあらわれると言っていましたね。

    そうすると、大学でのレポートを書くときの鍵は、自分の中にすでにあるものとの関連性をみいだせるかどうか、というところにあるかもしれませんね。

    Pink そのための支援があるといいのですが、18歳を過ぎて大学生になると放課後等デイサービスのような公的支援を受けられないそうです。

    Orange 高校卒業までは放課後等デイサービスがあって、学習活動のサポートを受けることも可能だったと思いますが、大学になるとそういった公的支援が得にくいということですね。大学ごとに支援体制を敷くようになってきていますが、どの大学でも、どういう学生でも十分に支援を受けられるところまではいっていないというかんじでしょうか。

    Pink はい。高校を卒業し大学進学後も学びを続けるための支援を受けられるような支援体制が整っていてほしいです。国や自治体には、支援を受けるような人は大学までいけないという考えかたがあるのかもしれません。これは、志望理由書にも書いたのですが、障がい者は健常者より能力が劣っているわけではなく、文化が違うものだと思っています。異なる文化の中で生きていく困難さであって、能力の有無ではないはずです。

    Orange  少し粗い言いかたかもしれませんが、定型発達の人びと中心の文化の中で、異なる文化を持つ定型発達ではない人びとが、文化的ギャップによる困難さを抱えるということですか?

    Pink はい。そんなかんじです。

    Orange 異なる文化ということでは、Pink Milkさんが日米のヒーロー像を比較して分析を行ったことを思い出します。

    Pink あのころはアメリカンヒーローの筋肉にあこがれていて、どうしてアメリカのヒーローはマッチョで、逆にどうして日本のヒーローはマッチョが主流ではないのだろうって疑問に思っていたのです。

    Orange そうでしたね。アメリカのヒーローと日本のヒーローとは、どういうところが違うのか、どのように違うのか、まず調べていきましたね。

    Pink ヒーローの年齢や職業、身体のプロフィール、家族構成、生い立ちなど、日米のいろいろな作品のヒーローを調べました。

    Orange 違いが分かってきたところで、ヒーローがそういう姿である背景を探ってみようということになりましたね。

    Pink はい。文化、歴史、宗教、教育、生活などの面から、それぞれの国のヒーロー像につながるものがあるか、探っていきました。国も文化も違うので、情報収集などの困難は多かったんですけど、できるだけ多くのヒーロー映画を観たり、似た分野の研究者が書いた本や記事を読んだりすることで、自分なりに分析して仮説を立てていきました。『男子の美学(The real man)』という海外の映画評論家や研究者がハリウッド映画のヒーローを分析するドキュメンタリー番組の内容と自分が立てていた仮説とがおおむね合っていたときはものすごく興奮しました。私、まちがっていなかったんだなと思ったのです。

    Orange 相違点に着目して、そこからヒーロー像の背景にあるものまで考えていったのでしたね。表面的には異なるように見えても、じつはそこには普遍的なものがあるかもしれない、そのへんにも私は興味があるのですが、Pink Milkさんはどうですか?

    Pink 私もそう思います。国も言葉や文化が違っても困っている人を助けたいという思いって万国共通にありますよね。できるだけ多くの人を助けるにはどうすればいいのか。これからは、大学でそういうことについても追求していけるといいなと思っているのです。独自の文化や国民性などが発展してきた過程を知ることで、困っている人たちがいちばん喜ぶ方法を探っていけたらなと思います。

    Orange それは興味深いテーマです。大学でいろいろ学んで、Pink Milkさんの自分なりのテーマについて追求していってくださいね。報告がてら、たまには顔を見せてください。

    Pink はい。そのときはぜひよろしくお願いします。最後になりますが、Orange Cocoaさんとともに5年間の長い時間を過ごせてとても幸せでした。18歳を過ぎた後の人生は楽しいことだけではなく、つらくて苦しいことだらけかもしれません。それでも、放課後等デイサービスで学んだことを胸に、一生懸命に強く生きていこうと思います。

    Orange 大変力強い言葉ですね。Pink Milkさんの意気込みを感じます。これまでの5年間は放課後等デイサービスという名前の同じ船に乗り合わせてきました。そして、Pink Milkさんは大学進学で別の船に乗ることになりました。これで、私たちはいったんべつべつの船に乗ることになりますが、またいつか力を合わせて船をこぐ日がくるかもしれません。そういう日が来ることを楽しみにしていますね。


  • 【執筆者紹介】Pink Milk

    関東地方在住。JKであるという実感が湧いていないJK。休日は家でゆっくり過ごしたい派。基本的に人混みへの外出は苦手。おいしいご飯さえあれば人生なにも困らないと思っている。

    (「Pink Milk」執筆記事一覧)


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