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【対話でひらく発達支援】二次障がいを防ごう③

この記事を読むには3分ほどのお時間がかかります

大内 雅登(おおうち まさと)

*本記事は、S&D発達支援情報メルマガNo.7(2024年9月12日発行)から転載されたものです。

  •  冒頭の【特集】でも触れたように、発達障がいは障がい自体が見えにくく、わかりにくいものです。
     ある障がい特性で何かを失敗したとしても、その失敗の理由がわかりにくく、周囲が過度な叱責をしたり、不適切な指導をしたりすることが多いと想像できます。
     周囲の否定的対処が、当事者の混乱や気分の落ち込みを招き、次の問題行動へとつながっていきます。
     当然、その問題行動も周辺者からすれば叱責や指導の対象となりますから、この否定的対処はエスカレートしていきます。
     それによって当事者の反応はよりネガティブさを増していくということが続いていくわけですね。
     関係性も悪化しますし、当事者のやる気や自尊心も低下します。
     不安なまま、やる気の出ないまま何かに取り組むので次の失敗体験を生みやすく、社会参加へのためらいへと変化していくのも仕方がないと言えそうです。
     一般的には、このような悲しい連鎖反応が二次障がいへとつながっていくとされていますが、日々の生活の中においてはこの連鎖が見いだしにくいものです。
     一連の流れを見返すと、あれとこれがつながっていたのかぁと思えても、周辺者が当事者に対応している時点でこの流れに気づくことは稀です。
     極端な例で言えば、雨が降ってきたとき「傘をさしたら?」と自然な気持ちで促すとき、それが相手を傷つけるなんて思えないですよね。

     先日雨の中、発達障がい者と外出をした際、折りたたみ傘を持ってはいるけれども開かない様子を見て「ささないの?」と聞いたところ、その人は「うん」と返すだけでした。その言葉を信じてもいいのですが、それではカバンから傘を出した理由が見当たらないんですね。そこで私が「その傘かっこいいね、貸して」と声をかけると、傘を渡してくれました。私が傘を開いて渡すと、その人はそれをさしてくれました。傘をささない人、さしたくない人ではなかった可能性が高いです(私に気をつかってさしてくれただけかもしれませんが)。
     どうも指先の器用さや、力の入れ方などの課題で傘を開けなかったようです。もしかしたら、折りたたみ傘の構造がわかりにくかったのかもしれませんが、どちらにせよ私の「(傘を)ささないの?」という一言は、その人にとって答えにくい問いかけだったようです。下手をしたら「ぬれるの好きなんだ」とか答えてしまい、その言葉を周辺者に信じられてしまうかもしれません。
     【特集】で、世の中には、できる・できないに関する記述が多いことに触れましたが、こうした苦しみに注目するためには特性を知ることが必要なんですよね。できる・できないを知ることは大切です。私の接し方の例で言えば、特性を念頭に置いた上で、傘を手にしながらも「ささない」とする態度の意味を考えた、ということになります。
     もし私の対応に一定の意味があるとすれば、「特性の理解」と「当事者の理解」の先に、二次障がいを防ぐ道があると言えそうです。

  • 【執筆者紹介】大内 雅登(おおうち まさと)
    LD専門家庭教師Study&Dialog講師/Care-Media Labo主任研究員/(一財)発達支援研究所客員研究員。自身の経験と、支援現場での実践の双方から、対話を基盤とした支援のあり方を探求している。支援を「わかることから」ではなく、「ともに在ること」から捉え直す実践と言葉の発信を続けている。
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