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はつけん書店

特集テーマ「居場所」について

発達支援研究所 所長
山本登志哉

  • 前回の特集テーマは「自分らしく生きる」でした。

    最後に麻生武さん(客員研究員)が書いてくださった「【特集記事を読んで】「自分らしさ」はなくても、僕は僕だから」はこのテーマの意味を面白い角度から整理しなおしてくださいました。

    自分が自分らしくない、と思うとき、二つの意味がある。ひとつは「自分が追い求める本当の自分=理想の自分」と比べて、この自分が「自分らしくない」と思うことです。そりゃおかしいよね、と麻生さんは言います。どんなに理想的でない自分でも、それが自分なのですから。

    そしてもうひとつは「人からみた<その人らしさ>」から離されてしまっているということです。ひとつめの「理想の自分」らしくない、と悩むのは、実は<その人らしさ>を否定してしまうことだ、ということになります。

    麻生さんが書かれているように、もちろん特集の趣旨は後者の意味に近いものです。少し言葉を足せば、<その人らしさ>を人から押し付けられている状況も含みます。二次障がいに苦しむ子どもの姿を見ていると、実は「自分が追い求める本当の自分=理想の自分」は、周りの大人から「それがその人らしいのだ」と押し付けられている場合が多いからです。

    その意味では「自分らしい」ということは、他人が決めるものとも言えないのでしょう。

    さて、そんな風に周囲の期待によって押し付けられた「自分らしさ」に苦しんでいるとき、自分の気持ちに素直にいられる状態に立ち戻ることがとても大事になると思います。

    発達障がい児・者は自分が持って生まれた特性、つまりその人にとってとても自然なありかたを認めてもらえない、という状況に置かれやすくなります。無理をして定型社会に合わせなければ生きることを許されないような、そういう厳しい環境にあります。

    生きる以上、そういう厳しさから完全に逃れることは、これは障がいの有無にかかわらず不可能です。けれども、その厳しい環境の中でも頑張れるためにも、自分が自分に素直になれる、という意味で「自分らしく」生きられる空間と時間が必要なのだと思うのです。

    それが「居場所」です。

    では「居場所」というのは改めて具体的に言うと、どんな場所なのでしょう?どんなところが居場所として感じられるのでしょう?どうしたら居場所を確保することができるのでしょう?そんな問いを持ちながら、みなさんにとっての「居場所」について、原稿をお願いしました。

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