【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】㉓
できることって、なんだろう?
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中水 香理(なかみず かおり)
電車で通勤しているのですが、本当に神経質になってしまいます。
とくに朝は、混雑するので気持ちが落ち着かないことが多いです。
換気の窓近くに意識的にいるようにしたり、咳やくしゃみをする人がいると車両を変わったりしています。
前は眠気に襲われていたのに、今は肩が凝りそうになるくらい緊張をしています。
そんな中でも、ちょっとした気分転換が車窓からの景色です。
街を一望できるスポットがあるのです。緊張の連続の中で、目の前に広がる景色に「ホッ」とする瞬間です。
眼から入る情報は、いろんな意味で重要なんだと感じます。
支援の教材を紹介していますが、「見る」ちからの可能性を引き出せればと考えています。
「触る」「使う」というのも、苦手意識が強い子もいると思います。「たのしい」
想いの部分になるかもしれませんが、私が緊張の中で出会う景色のように、前に進むきっかけになるように作っています。
〇「しっている」のつぎは
勉強が嫌いの理由。「やりたくない」
この言葉の向こう側に何があるのか。
たぶん、深い闇が広がっているのではないでしょうか。前回も書きましたが、発達障がいの中に「LD(学習障がい)」というものがあります。
「読む」ことが苦手なタイプ
「書く」ことが苦手なタイプ。
「算数」のようなことが苦手なタイプ と分類されています。「今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)⑫書くのがむずかしい?」で紹介したように、「文字」に対して苦戦は必至だと思います。
文字を「知る」というより「感じる」ことから始めてほしいと思います。
支援していて思うのですが、「知ってる」という言葉が出るときは、見たり聞いたりしていると思います。
一般的な「知識」ではないことは分かっていただけると思います。
このことばがでることは、とても大切なことなのです。ほめてあげるきっかけ、「自己肯定感」を高めるきっかけになるからです。
だからといって「知っている」を強要しないでください。
その子のペースで「感じる」から「知っている」へつながられるように見守っていきましょう。やっかいなのが「分からない」という言葉がでてくるときです。
思考的に受け入れを拒否しているように感じてしまいます。
「LD(学習障がい)」ならではなのかもしれません。文字に対する「脳」の受け入れ体制が不完全なのではないかと思ってしまいます。
「音韻意識」
文字を「音」や「かたち」として受け入れやすくしてあげる工夫が必要になってきます。
ファーストステップとして、文字を「音」や「かたち」として受け入れやすくしてあげる工夫が必要になると思います。
詳しくは、「今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)⑫」をご覧ください。セカンドステップ、どうやって「知る」に近づけるかです。
やはり「楽しい」や「おもしろい」が、キーワードになりそうです。おもちゃ感覚、ゲーム感覚で意識を向けてくれるといいのでは?と考えたわけです。
〇まずは、やってみよう
「また?」と言われそうですが、おなじことを書きます。【お願いです】
PCの画面とマウスだけを机に出すようにしてください。
キーボードや本、筆記用具は隠しましょう。
出来れば、周りにパーティションやカーテンなどで「目から入る情報」を遮断して、PC画面に集中できるような工夫をお願いしたいです。通常支援でも、壁や仕切りなどで情報を調整します。
制限してあげて、注視しやすくしてあげましょう。今回の内容は、「ことばかるた」や「もじならべ」などと言われる遊び感覚でできるものです。
用意いただくのは、
パソコン(PowerPointやExcelが使用できるもの)
⇒ できれば、パソコンとマウスで行ってほしいです。
プリンター(カードを作成します)
はさみ・PowerPoint教材「ことばあそび」
・Excel確認教材「ことばあそび」
・Excelカードシート「ことばあそび」3種類を使っていきます。(各素材の名前をクリックすると、PowerPoint・Excelファイルをダウンロードできます)
対象になるのは、幼稚園年長くらいから小学校低学年くらいだと思います。
文字をあいまいに認識している場合などに使ってもらえるといいと思います。①みる
PCでPowerPoint教材をみることから始めましょう。
クイズ形式というか、謎解きのような仕上がりにしています。森?ジャングル?の探検で、動物の名前を見つけるミッションを遂行していきます。
けっして考えるものではなく、楽しく遊んでほしいです。「知っている」ことが動物の名につながり、もじの動きが気になってくれたり、おもしろいと感じてくれれば、次への足ががりになると思います。
PowerPoint教材で確認出来たら、Excel 教材に移ります。
②うごかす
「いくつある?」のときに説明させていただきましたが、使いかたがあります。
Excelの確認教材は、
問題 ⇒ 答え(A) ⇒ なぞりがき(W) の順に構成されています。
問題のシートには細工がしてあります。
「ひらがな」一文字の四角にマウスのカーソルを合わせて、「左」クリックを押し続けながらマウスを動かします。
四角のマスのところに「ひらがな」が動くようになっています。子どもさんが、動かしにくければ保護者が指示にあわせて動かしてあげてください。
【ここで注意】
Excelを「上書き保存」しないでください。
かならず終わったら、右上の「✖」を押して終了してください。次使うときに、せっかくの細工がすぐに使えない状態になってしまうからです。
なぞりがきは、画面に向かって「空中」に書かせてあげましょう。
画面をなぞったり、別の紙に書かせるのはやめましょう。書いている気分が大切なのです。
嫌がる場合は、無理はさせないことです。③やってみる
PowerPoint教材やExcel確認教材を実践します。
Excelのカードをプリントアウトしてください。絶対に強制はダメですよ!
勉強ではなく、あくまで遊びの延長なのです。<導入>
・二文字のシートから始めてください。
・かならず、あてはまる文字ふたつを置いてあげてください。
・四角の中に文字が入れば「ほめて」あげてください。
・難しければ、なぞりがきシートをヒントに使ってもらってもいいです。
・三文字も同じです。
・順番は何でもかまいませんので、あてはまる文字三つを置いてあげてください。
・少しずつ難易度を挙げていきましょう。
<応用>
・二文字のシートで、文字数を増やして置きます。
・できるようになれば、文字数を調整しながら行ってください。
・お手製の四文字以上のシートを作っていただいても構いませんが、嫌がるようならば強制はしないでください。
<なぞりがき>
・指から始めましょう。
・クレヨン、カラーペン、えんぴつなど、筆記具について、持ちやすさや筆圧の受けかたを子どもに確認させながらやってみてください。いちばんたいせつなのは、やる気なのです。
分かっているけど・・・「やりなさい」と口が動いてしまうこともあると思います。言ってしまったとしても、止めどきさえ分かっていれば大丈夫です。
「よくできたね。」のひと言が大事なきっかけになると思います。〇がんばりかた
教材を作っているとき、子どもたちの笑顔が出るのはどんなときなのかを考えて作っています。「勉強は修業じゃない。やらされるものでもない。たのしいと感じてはじめて学ぶことができるんだ。」
大学生のときに、ゼミの資料作成に取り組んで苦戦を強いられていたことがありました。
教授から言われたのが、この言葉でした。どうしても「修行」になりがちですが、どこで笑えるかなんじゃないかと考えています。
自分のしたいことは、「やりたい」が先行します。どんな状況でもやってしまいます。大きなチカラの基礎をつくるのは、「やる気」。
「工夫」をすること。次の支援につながるようにしていきたいです。
さあ、なにをつくろうかな。
中水 香理(なかみず かおり)
活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)
ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)
「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。
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