はつけんカフェ

【今日は何をしようかな?(指導員のひとりごと)】④
「スモールステップ」 つぎ?何をするの?

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中水 香理(なかみず かおり)

日々の業務に追われながら、コツコツと原稿に向かって書いているのですが、本当に独り言のようだと思います。

「あっ!この前・・・あんなことあったよな・・・」

書くというより、パソコンのWordに打ち込みながら、原稿を規定文字数まで頑張る!という感じです。

  • ことばを紡ぎだす作業は大変ですが、読んでくださる人たちの顔を想像しながら、どんな想いで読んでいただけるかをつねに意識しています。
    このような機会をいただいた山本先生に感謝しつつ、業務の忙しさをうらみつつ・・・今回も楽しんでいます。

    通常業務としては、同じ教室の指導員さんたちに「今日はなにする?」と聞いたり、他教室の指導員さんの悩みごとなどをまとめて、研修を行う指導員の指導係的なことも行っていますが、基本は支援を行う指導員として活動しています。
    毎日、いろんな子どもたちの支援を行っています。小さな子(一番小さな子は2歳)もいれば、高校生もいます。

    いくつになっても「学ぶ」ことは、活力を生み出す源みたいに感じています。

    いろいろな悩みを持った子どもたちが教室に通ってきます。
    「塾のような感じで利用できますか?」
    私が担当する子どもの保護者の大半は「学習支援」を望まれています。

    1月ごろから、小学校に上がる前の保護者さんの声・・・

    「字が読めないんです。」
    「3までしか、分かってないです。」

    こんな相談や問い合わせが、増えてきます。

    また、6月になると家庭訪問、個人懇談などで担任の先生から教室での様子を聞き、支援施設や放課後等デイサービスなどにお問い合わせいただいたりもします。

    先生の立場からすれば、「不安」を煽(あお)るつもりはなく、学校のシステムや教室運営上で「お知らせ」しなければならない業務であることを前提として話されているはずですが、保護者の立場から考えれば、どうしても「我が子」のこととなると、冷静に話を聞けないことがほとんどだと思います。

    お問い合わせの際に、真剣だからこそあいまいな返事ができないことを肝に銘じてお答えしています。

    とくに「学習支援」については、子どもの将来に関わる重要なことがらを含むので、何度もお話を聞くことが多くなります。
    なかでも進学について保護者がご存じでないことがらは多くあります。
    高校へ進学することへの期待と不安、その先へ進むことができるのか・・・

    別の機会に、進学のことは書こうと思っています。


  • しかし、
    「学習支援」=「勉強を教えてくれる」
    決してそうではありません。

    こういう話を聞いたことがありませんか?
    「算数の文章題が読めない。」
    「黒板やプリントの内容が分からない。」

  • 何が書いてあるかが分からないのではなくて、「どこ」を、「なに」を見たらいいのかが、分からないことがほとんどだと思います。

    視野トレーニングやビジョントレーニングと言われる、視線を安定させたり、視野を広げたりするための訓練を事前に行う必要性があります。
    脳のシステムエラーから、視線を止めるのが難しい場合があります。
    「見る力」を養うような訓練などのひとつとして、考える(学習内容)前にやっておくことで「学習」を補うことにつながるのです。

    簡易的にできるものとして、「迷路」や「間違い探し」をおススメします。


  • 迷路のやりかたですが、単純なもので枠は黒、筆記用具は色鉛筆やカラーペンを使用してみてください。
    はじめはできるだけ、枠は太目のもので行ってください。
    書き込む線よりも太いものが分かりやすく、色鉛筆を使うことでどこを通っているか、判別しやすくなります。行き止まりや折り返すときに、違う色に変えてあげると目線で追うことも分かりやすくなります。

  • 間違い探しもできるだけ白黒の絵から始めて欲しいです。

  • 難易度を上げる際に、色や柄に注意が必要になります。
    男の子で「黄色」「緑色」「茶色」の判別が難しい例も報告されているので、配慮することがあります。

    間違い探しではなく、同じ絵を探す「探し絵」も同じ効果があります。
    単純なものから複雑なものへ難易度を調節してみてください。


  • 柄に関しても感覚過敏で見にくい場合もあります。
    配慮が必要なことも多いですが、小さなことからコツコツと行うのが療育です。

    小さな気づきが大きな変化へ。
    何度も言います。根気のいる作業になりますが、子どもの目線がどこにあるのかを観察することも重要です。
    目が細(こま)かに振動していたり、まったく別のところを見ていたりすることもあります。
    行うたびに違う動きをしている場合もあるので、記録をつけておく方がいい場合もあります。


  • 見たものを再現する訓練も有効です。
    パズルが代表的なものになります。
    単純な絵(動物や乗り物)のパズルから始めることをおススメします。

    パズルを購入しなくても大丈夫です。
    子どもの好きな絵を厚紙に貼ります。
    四角や三角に切って、単純な構造のパズルもどきの完成です。

  • 好きなものが描かれているだけで興味を持ってくれて、行いやすくなると思います。
    どのような構図で描かれているかが分かっていると、イメージをしながら再現しやすくなります。
    指先の訓練にもなり、一石二鳥です。

    慣れてくれば、別の構図で作ってあげてください。
    完成図を見せながら、パズルを合わせていき、完成した時の達成感が、意欲を生み出してくれると思います。

  • 体を動かしながらできるものもあります。
    それは「じゃんけん」です。
    単なるじゃんけんではなく、「後出しじゃんけん」です。

    出しているグー、チョキ、パーに対して、勝つものを出す場合や負けるもの、同じものを出すといった条件で反応させていくのです。


  • これもビジョントレーニングなのです。

    運動の一貫で行うのもいいと思います。
    集団のSST(ソーシャル・スキル・トレーニング )の際に導入で行ったりもしています。

    「小さな一歩」

    学習支援を確実なものにするために、手間も時間もかかるかもしれません。
    これだけやっても、ほんの少ししか変化がない場合もあります。

    どんなに小さな一歩でも、前に進むためには必要なプロセスなのです。

    「療育」とは、心身に障がいのある子ども(児童・生徒)が、「社会人」として自立できるように医療分野と教育分野がバランスよく成長に関わることだと思っています。


  • 焦ってしまいます。

    それはしかたのないことです。
    だから、私たちのような機関がお手伝いさせていただいているのです。

    何が必要か・・・つねに寄り添って、考えを廻(めぐ)らしています。

  • さぁ!時間だ。
    今日は何をしようかな?

    中間テストが近いなぁ・・・提出課題はできてるかな?
    そんなことを考えながら、子どもが扉を開けるのを待っています。

    (個人ベーシック閲覧期間:2019年9月15日まで)

  • 中水 香理(なかみず かおり)

    活動地域:関西圏(大阪・京都・奈良・滋賀が中心)

    ひとことメッセージ:大阪府内にある児童発達支援事業所で指導員として働く、娘と息子、二人の子どもの母です。息子の大好きなSEKAI NO OWARIのFukaseくんとの出会いが発達障がいを学ぶきっかけになりました。(ミーハーですいません。)

    「脳と体と心」、勘違いされることの多いことだからこそ、考えていきたいです。

    (「中水 香理」執筆記事一覧)


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