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【ヒオ先生の面白教育実践】④ ごっこ遊び ~ チクり合い(後編)

この記事を読むには5分ほどのお時間がかかります

ヒオ先生

でも、A児にいじられているばかりでは、少し癪(しゃく)にさわります。だから、隙あらば、私もA児をいじり返すことにしています。


  • こんなときは、すかさず、私はA児の母親にチクる演技をします。いたずらっぽい笑みを浮かべて。

    ……・・・………・・・………・・・………
    私 :ママに、でんわしようっと! 
       もしもし、ママですか、Aさん、わるいです!
       家で、たくさんおこってください...
       はい、はい...いつもありがとう...ガチャ!
    A児:(笑顔で)もう~っ、先生!
    ……・・・………・・・………・・・………

    Aさん、たいていは私と笑い合うことができます。

    これで、私もすっきり! これぞ対等の関係!?

    子どもも教師も、ありのままを出して、人間としての不完全性を笑い飛ばし、受け入れ合う。これができれば、もっと健全でいられるのかも...お互いに。

    う~ん...どちらが、子どもたちの成長につながる?

    ひとときも気を抜かず、聖人としての教師であろうと必死に努力すること? 

    それとも、間違えたり、すねたり、ムキになったりする、弱さをもった人間としての教師であることを認めて、いい加減な態度をとること?

    二者択一的思考で、簡単に答えを出すことができない疑問を自問しては、よく分からなくなります。

    でも、はっきりしてくることもあります。


  • こんな気持ちになります。

    障がいのある子どもたちが、教師の不完全さをいじって笑い合えることは教育的な価値があることかもしれない。

    私はこのようにも思っています。もちろん、信頼関係はすべての前提となりますが。

    たしかに、友だちをいじるという言動は、ときに、いじめにつながることもあるため、教師として簡単に許すことはできません。

    でも、いじりのターゲットが教師であればオーケー? 人をいじることで、ストレス解消!?

    また、教師の弱さに目を向け、人間の共通性への気付きを深めること。「みんな弱さをもった同じ人間!」という人間理解を深めることは、子どもたちの二次障がいに対する耐性を高める気もしています。

    さらに、考えが浮遊します。

    A児が自分で考えた「チクる」というユーモラスな演技は、すごい手立てなのかもしれない!

    最も有効な手立ては、子どもが本能的にみずから編み出すことができるのかもしれない!

    さて、この手立てをほかの指導に生かさない手はありません。

    同僚のK先生も、A児の携帯ごっこ遊びに乗ってくれました。

    ……・・・………・・・………・・・………
    K先生:(携帯電話を取り出すふりをしながら)ピッピッピッ...
        Aさんの代わりに、ママにメールを送っておいたよ。
        どんなメールだと思う?
    A児 :えっ? なに?
    K先生:(いたずらっぽい笑みを浮かべながら)
       「ママ、げんき? きょうのきゅうしょく、さかなだけど、ぼくはがんばってたべるよ。
        ママ、おうえんしてね! Aより」
        このメールを送ったら、ママ、とっても喜んでたよ!
    A児:(笑顔で)もう、わるい、せんせい! 
    ……・・・………・・・………・・・………

    じつはA児、魚が大の苦手なのです!

    翌日、納豆好きのA児は、納豆嫌いの私をいじってきました。

    ……・・・………・・・………・・・………
    A児:(携帯電話を取り出すふりをしながら)ピッピッピッ...
       せんせい、メール!
    私 :Aさん、ありがとう。何て書いてあるのかな? 楽しみ!
    A児:(いたずらっぽい笑みを浮かべながら)
       きょう、きゅうしょく、なっとう、なっとう!
    私 :(笑顔で)うわ~! 先生は、家に帰ります!
    A児:(笑顔で)もう、せんせい、わるい!
    ……・・・………・・・………・・・………

    A児はK先生とのやりとりを応用して、私をいじるアイデアを思考し、私との関係性から「おもしろい」と判断し、ごっこ遊びで表現しました。

    給食指導と言語活動とを関連付けたカリキュラム・マネジメント...
    即興演劇で、思考・判断・表現の資質・能力を伸ばします。

    これぞ、新しい教育!?

  • (個人ベーシック閲覧期間:2020年5月1日まで)

  • 【執筆者紹介】ヒオ先生
    「学校教育で、よりよい社会を創る」という野心を持った公立小学校の教師です。通常学級、日本語学級、特別支援学級を担当してきました。専門は異文化間マネジメント。小学校の前は、大学や企業で講師をしていました。


  • 好奇心が強く、いろんな国の人と関わったり、外国へ行ったり、そこで暮らしたりすることが大好きな地球人。中2までに、海外を含めて7回学校を変わった「転校のスペシャリスト」でもあります。このイラストは偽物っぽいかも。実際の本人は海外に行くと多くの国で、「現地の人」と思ってもらえる特技を持っています。「ヒオ」は、ポルトガル語で「川」という意味。自分の理想の生き方「上善は水のごとし」につながる言葉なので気に入っています。

    (「ヒオ先生」執筆記事一覧)

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