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はつけんラボ(研究所)

所長ブログ

  • 所長ブログでは、発達障がいをできるだけ日常の体験に近いところからあまり専門用語を使わないで改めて考え直す、というスタンスで、いろんな角度から考えてみたいと思います。「障がいという条件を抱えて周囲の人々と共に生きる」とはどういうことか、その視点から見て「支援」とは何なのかをじっくり考えてみたいと思います。

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2024.04.25

「コミュ力低い」で解雇は無効という判決

「コミュ力低い」で解雇は無効 未払い賃金の支払い命じる判決という記事を見ました。

今月から「合理的配慮」が法的な義務となりました。社会が「障がい者」に「健常(定型)社会に合わせる努力」を一方的に要求するのではなく、その人の得意を活かし、不得意を配慮で補ってその人なりに活躍してもらう、お互いの多様性を前提にした共生関係づくりの方向へと、世界が大きく変わりつつあります。

その中で、「コミュ力の低さ」を理由の一つとした解雇が無効であるという判決が出始めたわけです。

発達障がい当事者研究の熊谷さんや綾屋さんは自閉を「コミュニケーション障がい」ということを次のように批判しています。「日本人とアメリカ人のコミュニケーションがうまくいかないとき、「日本人がコミュ障だ」というのはへんでしょう?」


たしかに自閉系の人は定型的なコミュニケーションの意味をうまく捉えられずに対応できないことが良くあります。でも逆に定型は自閉的なコミュニケーションを理解できず(その点は私も含めてのいわゆる「専門家」も全く一緒であることは、逆SSTの実践でもはっきりしています)、その意味では本当は「お互い様」であることはますますはっきりしてきています。「コミュ障」は「お互いの間」に「お互いの理解しにくさ」として生じていることです。

だからお互いに相手のことが理解しにくいもの同士、一緒に努力することが求められているわけですね。その視点からの支援を研究所では「対話的支援」という言葉でも表現します。

この記事は、「合理的配慮」の法制化に加え、今まで主流だった「医学モデル」から、「社会モデル」へと障がいへのとらえ方や支援の考え方が大きく転換していることを示す重要な例の一つでしょう。

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