2020.01.09
「僕は僕なんだから」のその後
これまで多くの皆さんの心に響いてきたメッセージ「僕は僕なんだから」の主人公(仮にA君とします)のその後について、A君のお母さんから以下のような展開を教えていただきました。
一読してぜひご紹介したく思い、ご許可を頂いて以下に転載させていただきます。(一部プライバシー保護のために修正してあります)
あの講演(※)をきっかけに、私達親子は自立に向け、目標を一つに歩んで参りました。
安全面に配慮したアパート探しから始め、引っ越し、ホームヘルパーの手続き相談等・・・。
同時進行で息子には帰宅~就寝するまでの家事を身に付けてもらい、ゆっくりではありますが見事に11月半ば、初めて1人で過ごし翌日会社に出社することができました!!初めて達成した日は、まるで飼い犬が飼い主を玄関先で出迎えるように私を待ち構え、対面した瞬間「僕出来たよー!!達成感だよー!!」と満面の笑みで抱き着いてきました(笑)
久々に目にする凛々しくも喜びいっぱいの笑顔は本当にキラキラとしていて、私にとっても最高のご褒美となりました。今はまだ週に一度だけですが、私達にとっては大きな大きな一歩を踏み出し、希望に満ち溢れています。Aにとっては、私の居ないアパートにヘルパーさんを迎い入れ、一緒に夕食の買い出し、ご飯準備等…
ドキドキワクワクの連続ですが、今では今日はどのヘルパーさんが来るかな?と心待ちにし、少しずつ環境に慣れていっているようです。まだまだ道のりは長いですが、1人暮らしのイメージもでき、何より息子が「できない自分を自分で越える」瞬間を感じれたことが大変嬉しく、幸せを感じております。
お母さんによると、A君は「僕は僕なんだから」から最近では「俺には俺のやり方があるから」と表現まで成長されてきたとのことでした。
A君のこの劇的ともいえる展開が意味することは、「支援とは何か」を考えるうえでもとても大きいと感じています。そのことの意味についてはまた改めて考えてみたいと思っています。
※ A君も出席された講演で、最後に「僕は僕なんだから」の動画を流しました。その講演のあと、出席者の皆さんの多くが感動しながら熱心にA君のお母さんからのメッセージ動画を見られていたのを見て、A君は自分から、お母さんの手を離れて自分ひとりで生活をしてみる、という決意を語られていました。
- 当事者視点からの理解の波:質的心理学会
- 自閉的生き方と「ことば」2
- 自閉的生き方と「ことば」1
- 自分を「客観的に見られない」理由
- 「なんでこんなことで切れるの?」
- 当事者視点を踏まえた関係調整としての支援
- 「定型文化」と「自閉文化」
- 傷つける悲しみ
- 自閉と定型の「傷つけあい」
- 「社会モデル」から「対話モデル」へ
- 障がいと物語: 意味の世界を重ね合う試み
- 誰もが当事者:わたしごととしての障がい
- 規範意識のズレとこだわり
- 「コミュ力低い」で解雇は無効という判決
- 「カサンドラ現象」論
- 「嘘をつく」理由:それ本当に「嘘」なの?
- 自閉の子の絵に感じるもうひとつの世界
- 発達心理学会で感じた変化
- 落語の「間」と関係調整
- 支援のミソは「葛藤の調整」。向かう先は「幸福」。
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